ユースがすすめるジェンダー平等~ドイツ~

2018年の国際カールズ・デーにむけて、都市の安全についての調査を行っています。

2018年5月14~17日、ドイツのハンブルグで開催された、ユース(15~24歳の若者)によるジェンダー平等推進のためのトレーニング・マニュアルについて学ぶワークショップに参加してきました。

ユースが変革の主役に

プラン・インターナショナルは、子どもやユースが可能性を最大限に発揮でき、誰も取り残されることのない世界を目指して活動しています。近年は、ユースの活動が活発になり、世界のリーダーが集まる国際会議には、スタッフとともにユースが必ず参加します。コミュニティの子どもたち、とくに女の子が直面している課題に対し国際的な注目が集まるように声をあげ、女の子の権利とジェンダー平等を訴えています。私自身も国際会議で、自分たちが直面する課題を堂々と発言する女の子に出会ってきました。すでに大勢のユースがコミュニティや国際的な場で、「変革者」として活躍しています。

教育に関する国際会議で出会ったアフリカの女の子
教育に関する国際会議で出会ったアフリカの女の子
Plan International
国連人権理事会で発言するシリア難民の女の子
国連人権理事会で発言するシリア難民の女の子
Plan International
テーマごとに作成されたマニュアル
テーマごとに作成されたマニュアル
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活動のなかから生まれたマニュアル

トレーニング・マニュアルは、「チャンピオンズ・オブ・チェンジ」(「変革を推しすすめる人」)というタイトルがつけられています。このトレーニングの受講者は、伝統的なジェンダー規範や役割分担に疑問をもち、自身が暮らすコミュニティのなかで主体的にジェンダー平等を推しすすめる意欲のあるユースです。トレーニングを受けたユースが、さらに周りのユースに知識を伝えることで、周囲の仲間や大人を巻き込みながら、ジェンダー平等の実現にむけた変化を起こしていきます。

ジェンダー平等をすすめるうえで、男の子や男性の協力は不可欠です。このマニュアルが作成されたきっかけは、男性優位の伝統的な考え方「マチスモ」が根強い中南米のエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ドミニカ共和国の男の子たちにジェンダー平等を伝えるために、「男の子」用のマニュアルが作成したことです。その後、「女の子」用のマニュアルが作られ、男の子と女の子がジェンダー平等について一緒に対話するマニュアルやトレーニングを受けたユースが、ジェンダーに配慮したアドボカシー(政策提言)をすすめるためのマニュアルが追加され、中南米以外の国々にも広がっていきました。

ユースになりきり、トレーニングを体験
ユースになりきり、トレーニングを体験
Plan International

広がる活動でジェンダー平等を達成

現在、「チャンピオンズ・オブ・チェンジ」を活用したプロジェクトがボリビア、ニカラグア、コロンビア、インド、ウガンダ、ルワンダで行われています。女の子、男の子のそれぞれがトレーニングを受けることで、早すぎる結婚をした女の子が復学できるよう政府に働きかけたり、男の子による女の子への差別的な態度が改善するという成果が見られています。また、政府に対し、女の子と男の子が一緒に働きかけて、生理中の女の子に配慮した教育が行われるようになるなどの成果も出ています。

英語でのファシリテーションに悪戦苦闘!
英語でのファシリテーションに悪戦苦闘!
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トレーニングに参加して

私は、ドイツとジュネーブでアドボカシーを担当しているスタッフとともに、アドボカシーをテーマにしたトレーニングに参加しました。このトレーニングは、さまざまなトレーニングを受けたあとに、男女で協力して政府や社会に何を訴えるか、コミュニティの状況をどのように変えたいかを考える内容となっており、まさに今回の一連のトレーニングの集大成ともいえる部分でした。実際にトレーニングに参加してみて、ユースむけのトレーニング・マニュアルが、座学ではなく、参加型で楽しく学べる内容となっている点が利用しやすいと思いました。実際のトレーニングの成果を知り、今後の活用方法についてのアイデアも得ることができました。日本のユースが知るべき「性と生殖に関する健康と権利」や「ジェンダーに基づく暴力」などが多く含まれています。ジェンダーに配慮した未来をつくる当事者であるユースが、さまざまな知識と経験を身につけ、主体的に問題解決に関わることの大切さを実感しました。

プランは、2018年の国際カールズ・デーにむけて、都市の安全についての調査を行っています。日本でもユースが主体となり調査を行いますが、彼らのトレーニングにも取り入れ、活用していきます。

Plan International

広報マーケティング部 アドボカシー担当 城谷尚子

埼玉県立高校の英語教諭を経て、2008年プラン・インターナショナル入局。2011年10月よりアドボカシーを担当。日本の市民社会に対する啓発活動、他団体との協働による政策提言を行う。2013年~2015年には、プランが展開するBecause I am a Girl」キャンペーンの一環として、ジェンダー平等について学び、行動する連続講座「プラン・アカデミー」を担当。2015年からはユースと協働したアドボカシーを実施するため、ユース・グループとの協働をすすめる。2017年、プランが国際ガールズ・デーにあわせてグローバルで展開している「ガールズ・リーダーシップ」を実施。ユース約40人が小池百合子東京都知事、東京都議会議長・副議長に面会し、東京都の男女共同参画参画政策について政策提言をする機会を成功させた。教育協力NGOネットワーク副代表、開発教育協会理事、広島大学教育開発国際協力研究センター客員研究員を兼任。

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