福井県の海岸近くに2月9日、体長約3メートルのダイオウイカが漂着した。引き取り手がなく解体・廃棄されることになり、近隣の飲食店の従業員が足の一部分を試食した。
試食した男性は「美味しくないとは聞いていたが、焼いて味をつければ何とかごまかせる」とハフポスト日本版の取材に答えている。
■焼いている最中からアンモニアの匂いが
ダイオウイカが流れ着いたのは福井県越前町の道口川の河口付近。道口漁港のすぐ近くだという。越前松島水族館の担当者が計測したところ、最も長い触腕が欠けていたものの、残っていた腕の先までは286センチ。体重は推定約50キロだったと報告している。
このダイオウイカは比較的小型だったので標本にはせずに廃棄処分することになった。このイカを解体中に、近隣の飲食店「海の幸 食処 えちぜん」の従業員、玉木史弥さんが約1.5メートルの足を受け取り、店で試食することになった。玉木さんはダイオウイカの大ファンで、東京の博物館で標本を見たことはあったが、新鮮な状態を見るのは初めてだった。
漂着したダイオウイカを見て「海の巨大生物に惹かれていたので、まさか自分の近くでこんな物が打ち上げられるとは」と興奮したという。
「ダイオウイカは美味しくない」という評判は聞いていたが、好奇心から食べてみることにした。最初は生で食べたが「ものすごい苦みで口から吹き出してしまった」と振り返る。その後、皮をはぎ10センチ×15センチほどに切って約30分かけて素焼きにした。水分が多く、なかなか焼けなかったという。
焼いている最中からアンモニアの匂いがたちこめた。素焼きを食べてみたところ、第一印象は「すごくしょっぱい」と感じ、苦みが後味として残った。そこでマヨネーズ、醤油、すだちで味付けをしたところ「味をつければ何とかごまかせる」と感じたという。食感としては一般的なイカと同じだが、「決して美味しくはない」と話す。
万が一を考えて、従業員の試食は玉木さん一人。お店でも出さなかった。「海の幸 食処 えちぜん」では後日、YouTubeに調理の模様を動画でアップする予定だ。