外国で生まれた同性カップルの子どもにも、市民権。米のゲイカップル、裁判で勝訴する

異性カップルとの異なる扱いは違憲という判断が示されました

アメリカ・ジョージア州アトランタの連邦裁判所は8月27日、代理母を通して国外で生まれた同性カップルの子どもに、アメリカの市民権を認める判決を下した。

同性カップルと異性カップルと異なる扱いをする国務省の規則は、憲法に違反すると判断を示した。

子どもが両方の親と生物学的なつながりがないことを理由に、アメリカ国務省は子どもの市民権を認めていなかった。

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romrodinka via Getty Images

“生物学的なつながり”を理由に婚外子扱い

AP通信によると、裁判を起こしていたのは、同州に住む同性カップルのデレク・マイズさんとジョナサン・グレッグさんだ。

マイズさんはミシシッピ州出身で、アメリカ出身の母とイギリス出身の父を持つグレッグさんはロンドンで生まれ育ち、二重国籍を持っている。

2人は2014年にニューヨークで出会い、2015年に結婚した。そして2017年にジョージア州に移住した。

娘のシモーンさんが生まれたのは2018年6月だ。イギリスに住む友人に代理母になってもらった。

その数カ月後に家族でアトランタ郊外に移住してシモーンさんの社会保障番号を取得しようとした際に、問題が生じたという。

NBCによると、社会保障番号取得に必要な書類取得のために、ふたりはロンドンのアメリカ大使館に行く必要があった。

しかしシモーンさんを連れて訪れたアメリカ大使館の職員は、両親がともに男性であったために、生物学的な親は誰かなどの様々な質問をしたという。

最終的に、シモーンさんが両親の1人としか生物学的なつながりがないことを理由に、国務省はシモーンさんを婚外子扱いした。

そしてシモーンさんと生物学的なつながりのあるグレッグさんがシモーンさんの誕生日の5年前からアメリカに住んでいなかったため、シモーンさんの市民権を認めなかった。

マイズさんとグレッグさんは2019年7月、市民権を認めるよう求める裁判を起こした。

続く差別との闘い

27日の連邦裁判所の判決でマイケル・ブラウン判事は、市民権を得るために、両方の親との生物学的な繋がりは必要ないと述べた

そして、同性カップルと異性カップルと異なる扱いをする国務省の規則は、憲法に違反すると判断を示した。

国務省は司法省とともに判決の内容を確認しているという。

アメリカでは2015年に同性カップルの婚姻が認められたが、その後も続く政府の差別と同性カップルは闘っている。

マイズさんは2019年のNBCのインタビューで、大使館で3時間待たされている間、約20組の異性カップルがやってきて自分たちと同じ書類を提出し、子どものパスポートを手にして帰るのを目にしたと話す。「どのカップルも、子どもをどのようにして授かったのか、生物学的なつながりがあるのかなどは聞かれていなかった」と話した。

判決後の声明で「シモーンが生まれた時、私たち家族は自分の国の政府からこのように軽視され、娘の市民権を拒否されるとは思いませんでした」とマイズさんは述べた

ふたりの弁護士は判決を歓迎するとともに、「国務省の規則は結婚した同性カップルの子どもと、その他の既婚カップルの子どもを異なる扱いをしている」と指摘する

アメリカでは、同様の裁判は他にも起きている。そのうちの一件では、カナダに住む代理母を通して子どもを授かったメリーランド州のカップルが、子どもの市民権を認めなかった国務省を訴えた。

連邦裁判所は6月にカップルの訴えを認める判決を下したが、同省は8月に控訴している。 

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