ガスコンロのグリルを使用する際、掃除の負担を軽減するためにアルミ箔を敷いていませんか?
しかし、脂の多い鶏皮やサンマなど、食材によっては火災を引き起こす恐れがあります。
製品評価技術基盤機構(NITE)が注意を呼びかけています。
汚れの放置・誤った掃除の時短術
2018〜22年度、NITEに通知のあったガスコンロの事故は計195件。
そのうち148件で火災が発生しており、108件が「使用者の誤使用・不注意」によるものでした。
「使用者の誤使用・不注意」の内訳としては、「汚れの放置・誤った掃除の時短術」が43件と最も多く、具体的には「グリル庫内の汚れ」(17件)、「煮こぼれなどによるガス配管の腐食」(12件)、「グリル焼き網の上下に敷いたアルミ箔の上に脂をためる」(3件)などがありました。
NITEはこのうち、特にアルミ箔について注意が必要としており、「脂の多い食材の場合は、アルミ箔の上にたまった脂が発火したり、飛び散った脂に引火したりする恐れがある」と呼びかけています。
鶏皮を焼いていると…グリル排気口から火
NITEの実験動画を見てみましょう。
「鶏皮のパリパリ焼き」を作ろうと、使用者はグリル焼き網の上にアルミ箔を敷きました。
「掃除が面倒」「脂のギトギト対策」だといい、その上に鶏皮を並べてグリルを点火、その場を離れてしまいます。
すると、グリル内で鶏皮の油が飛び散り、排気口から煙が…。その後、ついにコンロ内で発火し、排気口からオレンジの火と黒い煙が出始めました。
誤った掃除の時短術により、火災が発生したのです。
実際に、東京都では2022年、実際に鶏皮を調理中に火災が発生しており、グリル焼き網の上にアルミ箔を敷いて加熱したことが原因と推定されています。
火災を防ぐために必要なこと
NITEは、脂の多い鶏皮やサンマなどをグリルで焼く際は、アルミ箔を焼き網の上下に敷かないように求めています。
また、グリルに食品かすや油脂が付着していると、過熱されて発火する恐れがあるほか、煮こぼれを放置していると、ガス配管が腐食してガス漏れを起こしたり、バーナーキャップの炎口がふさがれて点火不良や異常燃焼を引き起こしたりすることがあるといいます。
その上で、「グリル庫内に入れるものは必ず取扱説明書で条件を確認し、機器指定以外のものは入れないようにしましょう。調理工程は省けても、調理後の掃除は省いてはいけません」と注意喚起しました。