「ギャングエイジ」という言葉、聞いたことありますか?
ギャングエイジとは発達心理学で心理学で使われている用語で、小学校3年生から4年生くらいの、ちょうど仲間を作ろうとする時期の子どものことを言います。
家が近所だからとか、親同士が仲が良いから、等という理由でなんとなく周囲にいた子と一緒にいるのではなく、自分の手で自分の仲間を持とうと、「友達を選ぶ」年代に入ってきたのです。
また、親に対して秘密を持ちたがる年齢でもあり、親からすれば、少しずつ子どもの行動がわかりにくくなる年代と言えるでしょう。実際に手を焼いてる方も多いかもしれません。
かくいうわが家もそう。次男は現在小学6年生ですが、彼もまたギャングエイジを今まさに通り抜けようとしているところです。
今回は、次男の例を交えながらギャングエイジ時代の子どもの様子と、親にできることについてお話します。
仲間作りに苦労するギャングエイジ
次男には小3の最初の頃、非常に苦労させられました。もともと、ちょっといじけやすい性格ではあるのですが、この時期は帰宅するたびに
「遊びたいのにS君やA君が誘ってくれない」
「入れてもらえたけど、僕がやりたい遊びは全部ダメで、S君が言った事しかできない」
「一緒に帰ろうって言ったのに、みんな先に行っちゃった」
なんてことを言うようになりました。
実際この頃、授業参観で次男の様子を見ていると、ある休み時間はグループの中で遊んでいたものの、次の休み時間はあちこち声をかけて拒絶されたらしく、そのままワーッとひとりで校庭を走りまわっているだけでした。
ひとりで駆け巡っているわが子を見たときは、なんとも胸がつまるような思いがしてしまいました。
日々変わっていく友人関係
次男が帰宅しては愚痴るようになり、授業参観で様子を目の当たりにした頃、私はずいぶんと彼を心配しました。
そんなとき、次男と一緒にお風呂に入った夫が「アザがあったから理由を聞いたら、なんか友達とケンカしたみたいだねぇ」とのんびり口にし、それを聞いた私はカッと頭に血が上るような思いで「グループに入れてもらえなくてケンカになるのよ!」と言いました。
でも夫は
「まぁ、オトコだからしょうがないよ」のひと言で終わらせてしまったので、また違った意味でモヤモヤを抱えてしまいました。
しばらくしてケガやケンカが減ったと思ったら、次は
「A君の言う通りにしないと、仲間に入れてもらえない」
と言うのです。どうやら、使いっ走りのようなことをしているとわかり、またもや私の心配はふくらみました。
グループに入れてもらうために必死なわが子を見て可哀想にも思いましたが、そうこうしているうちに、今度は子どもの帰宅時間がバラツキだしました。心配になり、携帯のGPS機能で子どもの居場所を検索すると、帰宅方向とは別の方へと進んでいます。
このときも夫に相談しましたが、
「やめなよ、少しくらいの寄り道なら放っておきなよ」
と言われたのです。
安全が何よりですから、居場所を調べようとするのは、私としては親のつとめと感じます。
でも一方で、ランドセルをしょったまま公園で立ち話をしたり、いつもと違うルートでワイワイと帰宅したり...... それは子どもにとって大きな冒険であり、仲間との絆という「今、その瞬間の彼らにとっては最も大切なもの」なのかもしれません。
ギャングエイジの時期、子ども達は仲間を持とうとし始めます。数人でグループを作り、彼らなりの掟を作り、親の見えないところで活動しようとします。子ども達にとっては、このグループ作りの最初の一歩、仲間と認め合う関係性が出来るまでが難しく、そう一筋縄ではいかないようです。
次男も最初はなかなかうまくいかず、あちこちで拒絶されたりしながら、そのうちに「グループの一員」となっていったのでしょう。きっと他の子を拒むこともあったでしょうし、別のグループとの力関係が元で悶着を起こしたこともありました。
小学生の中学年だからこそ、まだそれほど大きな問題には繋がらない時期に、仲間という絆を持つ楽しさ、揉めてはおさまる体験をしながら、自分の立ち位置をもがくように見つけていく。とても心配しましたが、きっと必要なことなのだと今はわかります。
女の子にもギャングエイジはある
次男を例に挙げましたが、ギャングエイジは当然ながら女の子にも当てはまります。
実は女子の方が、仲間にこだわります。交換日記がスタートして盛り上がりを見せるのもこの年代です。
しかも仲間内での独特のルールを作り、それを破れば、いわゆる「ハブ」「シカト」をしたり、あからさまな拒絶の態度をとります。多くは「結局、順番にやったりやられたり」で、ほどなくグループは落ち着きます。
しかし、女子に限りませんが、こうした仲間はずれが激しくなるばかりで、しかも特定の子どもを複数の子どもで長期間にわたって意地悪をするようなら、必要に応じて担任に相談し、わが子がどちら側であっても話を聞いてみる必要はあるようです。
この時期、早い子だとスマホも持ち始めます。男子より精神的な成長が早い女子は、親もさらに注意深く見守る必要はあるのかもしれません。
ギャングエイジ時代、親にできること
親としては、ギャングエイジ時代の子どもがトラブルを起こしていたり、揉めていたりするのは大体気がつくでしょう。心配し不安になるのも無理はありません。
しかしここは、ひとまず黙認することをおすすめします。私も最初はなかなか出来ませんでしたが...... つい口をはさみたくなるのが母親というものですよね。
何より大切なのは、「気づいているからね」ということを伝えておくことだと思います。
「今日は遅かったみたいね」
「まっすぐ帰宅して宿題やったんだよね?」
などと言いながら、子どもをチラッと見る。この、チラ見の視線はかなりキツめに!
10歳前後の子どもは、すぐにバレる嘘で言い訳をします。追い詰めずとも、「ママは見てるんだぞー」と強めにアピールするのが必要です。同時に「本当に困ったら、いつでもママは聞いてあげるし、助けるよ」と両手を開いて受け止める姿勢を崩さずにいたいものです。
手を離しても、目を離すな。
それがまさにギャングエイジ時代に親がとるべき行動なのかもしれません。
友達とのひと悶着や、仲間はずれの経験。寄り道や、してはイケナイ買い食いをする小さな悪さ。その経験はこの年代だからこそ出来る宝物でもあるのでしょう。
親も子も、苛立ちが募る年代ですが、そこは年長者たる親ですから。葛藤とケンカと失敗に劣等感、様々な新しい複雑な感情を持ち始めるギャングエイジこそ、子ども時代の黄金期であると、大きく構えていきたいですね。
【ライター 大橋 礼】
年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌! 本とお酒があればよし。
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