学生が中心になって運営する子ども食堂の全国ネットワークが立ち上がった。10月5日、越谷市の埼玉県立大学で全国大会が開かれ、新潟、愛知、兵庫、高知、福岡など10都県で活動する学生らが集まり、交流を深めた。
冒頭、全国初の学生子ども食堂と言われる「はちおうじ子ども食堂」(東京)の4代目共同代表、齊木良美さん(大学3年)が大会宣言。「活動内容や特徴は違うが、『子どもたちのために』という共通の思いで活動する同世代が、助け合い、刺激し合う場にしていきたい」と述べた。
学生子ども食堂は、把握できているだけで全国に約30ある(関屋光泰・東洋大助教の調査)。学生が子どもの貧困や孤食の問題を身近に感じ、地域に子どもの居場所やつながりを作ろうと始めた。調理・食事を中心に学習支援やレクリエーションを通じ、ボランティアや教職員らが一緒に活動する所も多い。
同日は12団体が活動報告とパネルディスカッションを行った。
学生が関わる強みについて「縦(大人と子ども)や横(同年代)の関係ではなく、兄姉のような斜めの関係を生かした関わりができる」「先生に相談するほどではないが、困っていることを話せる仲間になり、問題解決の手助けができる」という声のほか、「子どもに近い将来のモデルを示せる。例えば、高校受験を控える中学生に高校生がリアルな話をできる」「遊びたいとの思いで参加する子どもが増えれば、貧困層ぎりぎりの子どもも参加しやすくなる」との発言もあった。
一方、課題も多く挙がった。一番は人手不足で「授業があって学生の参加者が多い日と少ない日がある」といった指摘が出た。学生がゆえの課題として「いずれ卒業するので活動の引き継ぎに苦労する」との声も。また「活動資金が足りない」「会場を借りたくても20歳以下で契約できない」「子どもの気になる言動に対応できないこともある」といった悩みもあった。
関屋さんは「子ども食堂は学生にとってもコミュニケーションのトレーニングになり、地域社会や子どもの現実や課題を学べる意義もある」と話した。
ネットワークの事務局は、こども食堂学生ボランティアスタートアップ講座実行委員会(共同代表=関屋光泰・東洋大助教、佐藤匡史・川口こども食堂代表) で、今後、相互支援や交流、情報発信などを目的に活動する。学生主体のゆるやかなネットワークとして全国に仲間を増やしていく。