図書館の本に付箋を貼ってはならない―。神奈川県立図書館(横浜市西区)がTwitterで「悲痛」な訴えを投稿し、話題になっている。利用者が本に付箋を貼り、はがしたところ一部の文字が付箋に張り付いたままはがれてしまったという。「付箋は綺麗にはがせるものと思うかもしれませんが、決してそうではないということを伝えたかった」と担当者は話している。
県立図書館と県立川崎図書館(川崎市高津区)が共同で運用する公式アカウントが6月21日、次のような投稿をした。これに対し、リツイートは2万3000超、「いいね」が1万8000超の反響があった。
コメントには、賛同する意見のほか、「活字って剥がれるんだ 知らなかった」「すみません。やってました」なども並んだ。
投稿をした県立図書館の担当者によると、この本は神奈川県の歴史について書かれた内容で、約40年前に印刷されたという。10日ほど前に返却されたが、その際、利用者から「貼った付箋をはがそうとしたら、こうなってしまいました」と言われた。
窓口の職員は「次から付箋を貼るはやめてください」と注意したという。
担当者はハフポストの取材に対し、「本音としては、付箋はまったく使っていただきたくないんです」と答えた。
「付箋によって本が破損するかどうかは、本の古さだけでなく、使用頻度や紙の質などにもよります。一見紙が痛んで見えないような場合でも、付箋を貼って取る時に紙が破れたり、印字がはがれたりすることもあります。見た目では判断しにくいので、付箋は使わず、しおりや紙をはさむようにしてほしい」と担当者は話す。
たとえ新しい本であっても「その時は破れないかもしれませんが、付箋についているのりがはがしきれずに微妙に本に残ってしまうこともあります。それが紙を劣化させる原因になる可能性だってあります」(担当者)という。
担当者は投稿するかどうか悩んだが、「付箋の『影響』について、ご存知ない人はご存知ないのかもという思いでツイートしました。決して、こんなひどい人がいるということを訴えようとしたわけではありません」と明かした。
「図書館の本はみんなのものだから大切にしてほしい、ということだけでなく、今ではもう手に入らない貴重な資料や本もたくさんあるということも知ってほしい」。担当者は最後にそう訴えた。