成人式向けに都内などで振り袖販売やレンタル、着付けを手掛ける業者「はれのひ(harenohi)」が、予約金を受け取りながら1月8日早朝から突然行方不明となった問題では、被害者を救済する業者も次々と現れている。
振り袖のレンタルを同社で予定していた八王子市の専門学校生の女性(20)は、助けてくれた美容院と着物店のおかげで、午前中の成人式に何とか出席することができたという。ハフポスト日本版の取材に対して「ほんとに感謝しかない。世の中、優しい人がたくさんいるんだなって思いました」と話した。
この女性は、2016年4月に振り袖のレンタルと着付け、前撮り(事前の写真撮影)、ヘアメイクの予約をし、約40万円を支払っていた。
予約していた8日午前5時半、女性は母親と「はれのひ」八王子店(八王子市子安町4)を訪れた。すると、店からは荷物が全て運び出され、「もぬけの殻」状態だったという。
同店の隣のスペースでレンタルした着物を着付けてもらう予定になっていたが、スタッフは不在、ウェブサイトも繋がらず、連絡を取る方法が一切なかったという。
「何も言えない状態。意味がわからなくて、最初は笑いがこみ上げて来てしまいました」
その場では他にも大勢の新成人がいて呆然としていたという。女性は警察官による事情聴取も受け被害を報告した。
「お店が逃げました。まじ誰か助けてください」。
女性は8日早朝、経験したことの一部始終をTwitterで報告した。
すると、大勢の人からリプライで情報が寄せられた。中には「今から着付けに行けます」という温かい申し出もあった。
また、Twitter上では他にも、着物店が「被害者はうちに来て」とも呼びかけていた。その情報を見て女性は、ある着物店にも連絡したが、残念ながら既に埋まっていたという。
結局、行きつけの美容室に連絡をし、女性はヘアメイクをお願いすることができた。着物も、その美容室のスタッフが探してくれた店で、急きょレンタルすることができたという。その連携プレーによって、女性は午前10時からだった成人式にも、予定通り無事出席することができたという。
「たくさんの人が情報をくれました。ほんとに感謝しかないです。振袖を急きょ貸してくださったお店の店員さんが、泣きながら『本当によかったですね』って言って下さいました。世の中、優しい人がたくさんいるんだなと思いました」
女性は「本当にひどい目にあった」としつつ、感謝の気持ちをそう語った。
「はれのひ」とは
公式サイトによると「はれのひ株式会社」(横浜市中区)は、成人式用の振り袖販売、レンタル、写真撮影、着付けなどを手がけている。サイトによると着物の幅広い品揃えや女性スタッフによるサービスを売りにしていた。
2008年に創業し2012年7月末に初の直営店を横浜にオープンさせた。公式サイトには横浜みなとみらい店、八王子店、つくば店、福岡天神店と全国4店舗が案内されている。また、民間信用調査会社の「東京商工リサーチ」によると、他に、横須賀市と柏市にも店舗があるという。
ハフポスト日本版でも8日に連絡を試みたが、いずれの店舗の電話もつながらなかった。