ふくしま12市町村移住支援センターが、俳優・アーティストののんさんとコラボし、福島第1原発事故で被災した12市町村への移住促進に向けた動画を公開した。
のんさんが移住者の元を訪れ、移住のきっかけや現在の生活、そして12市町村の今を伝える内容になっている。3月9日に東京都内で完成報告イベントが開かれ、藤沢烈センター長の藤沢烈さんとのんさんが作品や復興に込めた思いを語った。
辛い過去を乗り越えたからこそ、移住者の「好き」を包んでくれる
現地の食材を使った飲食店や、古民家運営を行っている移住者と交流したのんさんは、地域の魅力を「好きを包んでくれる」と表現した。
また「東北に行くと温かく迎えて、のんちゃんと呼んでくれるんです。それがすごく嬉しくて、私は東北と一緒に歩んでいるといつも感じているんです」「ダメなことはダメって教えてくれる。それは拒否ではなく、むしろ一緒に生活して、一緒に生きようとしてくれている」と、移住者を歓迎してくれる愛情深い場所だと語った。
この地域性について藤沢センター長は、「12市町村に住んでいる皆さんは、全員一度は避難を強いられている。原発事故は残念な出来事ではありましたけど、そうした経験を乗り越えた皆さんがいるからこそ、好きを包んでくれる地域になっているんじゃないかなと思います」と話した。
手厚い支援制度も「好きを包んで」いる
温かい地域性に加え、支援制度もまた「好きを包んで」いる。
12市町村では、「福島県12市町村移住支援金」や「福島県12市町村起業支援金」などの手厚い制度が充実しており、ローカル起業家からも大きな注目を浴びている。
公私共に移住者をサポートする若手経営者コミュニティ「HAMADOORI13」をはじめとした交流の場もあり、まさに移住者が「好き」を体現するのに適した場所といえそうだ。
藤沢センター長は、こうした12市町村ならではの制度を踏まえ、「自分の『好き』を大事にしてぜひきていただきたい」「こういうふうに自分の新しいチャレンジができる場所になっているんだなということを、多くの方に知っていただきたい」と語った。
移住は俳優業に似ている?
演技やアーティスト活動などを通して活躍しているのんさんも、まさに「『好き』を大事に」を体現している人だ。様々な分野やプロジェクトを跨いでの活動は「移住」にも通ずるものがあるという。
また、それぞれの場所でのコミュニケーションで一貫して大切にしていることについてこう語った。
「礼儀や相手をリスペクトする気持ちを持ちながらも『悪く思われてしまうかもしれない』という気持ちを取っ払って、自分がどういるかを決めて、一直線に頑張っていくことです」
礼儀やリスペクトの心と共に「好き」を体現し続けるのんさんだからこそ、藤沢センター長がコメントしたように「好きなことに取り組める地域だという魅力をより引き出してくれた」のかもしれない。
「今からでも復興に関われるのかな...」と感じている人へ
東日本大震災から12年が経ち、「今からでも関われるのかな...」と思っている人もいるかもしれない。
しかし、福島県は岩手県や宮城県と比べると復興に時間がかかっており、12市町村に含まれる双葉町にいたっては、2022年の夏に避難解除がされたばかりだ。
藤沢センター長は「復興はむしろこれからという状況です。今こそこの地域に来て、活躍して、復興を支えていただけるベストなタイミングなんじゃないかなと思います」とメッセージを送った。
「好き」を形にしたり、「好き」を見つけたりしたい人にとって、12市町村での暮らしは新たなスタートを切る力添えをしてくれそうだ。
本編動画は、YouTubeチャンネル「のんやろが!ちゃんねる」から視聴可能。