政府は4月13日、福島第一原子力発電所敷地内のタンクにたまっている処理水を、国の基準を下回る濃度に薄めた上で、海に放出する方針を決めた。
この決定は、米ニューヨークタイムズや、英ガーディアン、中東アルジャジーラなど、様々な海外メディアでも取り上げられた。
ニューヨークタイムズは、「日本政府は、処理水の安全性を保障するためにありとあらゆる手段を講じるとしている」と伝える一方で、地元の漁業関係者らが強く反発していることを紹介。
「今回の決定は、福島をはじめとした日本の住民、そしてアジア太平洋地域の人々の人権と利益を完全に無視するものだ」という国際環境NGOグリーンピースグリーンピースの声明を紹介するなど、根強い批判があることを報じた。
アルジャジーラも、国連の専門家が3月に「汚染水にはリスクが残り、海への放出は受け入れられない解決策だ」と述べていたことを伝えている。
海洋放出に対する各国の反応はわかれている。
アメリカ国務省は「日本政府は、世界的な原子力安全基準に沿った決定をしている」と日本政府の決定を支持したが、韓国や中国など近隣国は反対を表明している。
ガーディアンによると、中国は「国際的な公益と中国の人たちの健康と安全を守るために、中国は外交を通して、日本政府に懸念を伝えていきたい」と述べた。
韓国も「我々の国民と環境に将来的に、影響を与えかねないこの決定を極めて残念に思う」という声明を発表している。
ガーディアンはまた、「タンクにたまった水は処理されてるが、それでも放射能で汚染されている。日本政府は、この問題で意図的に自国や海外を騙そうとしている」という、グリーンピースの核専門家ショーン・バーニー氏の強い批判も紹介している。
■日本政府の海洋放出とは?
福島第1原子力発電所の海洋放出の決定について、菅総理は13日に「基準をはるかに上回る安全性を確保し、政府を挙げて風評対策を徹底することを前提に、海洋放出が現実的と判断した」と述べた。
2年後には放出を開始できるよう、設備の設置などの準備を東京電力に対し求めていくという。
また政府は、漁業や観光に対する風評被害に対しても、東京電力が賠償をするよう求めている。