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無人駅舎を活用した醸造所が2月9日、福島県南相馬市のJR常磐線小高駅にオープンする。JR東日本スタートアップが実施した「JR東日本スタートアッププログラム2022秋」の一環で、JR東日本水戸支社が連携。東日本スタートアップの発表によると、無人駅舎を活用した醸造所は日本で初という。
「クラフトサケ」醸造所の詳細とは?
醸造所は、南相馬市小高区の「haccoba(ハッコウバ)」が開業する。日本酒の製造技術をベースとし、米を原料としながらもフルーツやハーブなどの副原料を入れることで新しい味わいを実現した「クラフトサケ」の酒蔵を運営している。
醸造所の名称は、「haccoba 小高駅舎醸造所&PUBLIC MARKET」。年間製造量見込み約1200リットルのブルワリー(醸造所)のほか、マーケット(物販エリア)、パブリックスペース(交流エリア)が設けられる。
マーケットでは、ブルワリーで製造した酒やオリジナルグッズ、お土産、地元の高校生が発案した商品などを販売し、購入した商品はパブリックスペースで楽しむことができる。
南相馬市小高区は居住人口が一度「ゼロ」に
南相馬市は、福島県の浜通り地方にある人口5万6311人(2024年1月1日現在)の街。国の重要無形民俗文化財「相馬野馬追(そうまのまおい)」が開かれることで有名だ。
東京電力福島第一原発の北に位置し、市域の多くが原発の半径30キロ圏内にある。東日本大震災で津波の被害を受け、原発事故で一部に避難指示が出た。なかでも同市の南に位置する小高区は住民の避難で居住人口が一時ゼロになった。
2016年7月12日、同市の帰還困難区域を除く避難指示区域が解除され、復興が本格化。住民の帰還だけでなく、今では小高区に起業家たちが続々と移住しており、「チャレンジのまち」として新しい賑わいを見せつつある。
同市によると、小高区は「市外から来た人を受け入れ、チャレンジを応援する価値観が根付いている」といい、このマインドに「おだかる」というキャッチコピーを付けて魅力を発信している。