オリジナルTシャツを制作して販売できるショッピングサイト「Tシャツトリニティ」に、福島県への風評や差別を助長するアイテムが多数出品されていた問題。
サイトを運営する大阪市の衣料品製造販売会社「グラフィック・オン・デマンド」が3月5日、ハフポスト日本版の取材に経緯を説明した。
経緯を振り返る
Tシャツトリニティは、「買う・作る・売る」が楽しめる参加型の通販ショッピングモール。
会員登録後に専用ページで画像をアップロードすると、Tシャツやパーカーなど90種類以上のアイテムに自動で反映され、サイトに出品できるようになる。アイテムが売れるたびに、報酬を受け取ることもできる。
一方、記者が3月1〜4日、サイトのデザインアイテム欄で「福島」と検索すると、非科学的な文言が記載されていたり、福島の人々への差別に繋がったりするアイテムが多数ヒットした。
「福一の天然水 強汚染水 セシウム」や「STOP汚染水!!」と記載されたアイテムのほか、「Plutonium」と書かれたTシャツの説明欄には、「福島」や「白血病」などの言葉が並べられていた。
また、放射能標識と「CAUTION」という文字の下に、「i come from the production site in Fukushima of radioactivity」（原文のまま）と記載されたTシャツもあった。
日本語に訳すと「私は福島の放射能生産現場から来た」という意味になり、説明欄には「あんぽ柿と放射能の生産量世界一の福島県から来ましたTシャツです」と書かれていた。
一連の問題は福島県も認知し、「風評や差別を招く恐れがある」として、3月5日付で国に情報を提供した。
運営側の社長は取材に
ハフポストは3月4日、サイトを運営するグラフィック・オン・デマンドに質問状をメールで送付。
「公序良俗に反する行為」「消費者の判断に錯誤を与える恐れのある行為」と書かれたサイト規約の禁止事項に該当しないのか、アイテムの審査方法、会社としての見解などを聞いた。
回答があったのは5日夜。土肥英資代表の名前で、「規約に反する不適切なデザインが登録されていることは認識しており、極めて遺憾」と返信があった。
サイトでは、第三者の権利侵害を行うことをクリエイター会員利用規約で禁止しており、「当然のこととして明記はしていないが、差別的表現も第三者の権利侵害を行う表現であると認識している」とした。
デザインの登録については、各クリエイター会員自身の責任のもと無審査で行われ、その後に一度、全てのデザインを審査する手順となっている。
しかし、膨大なデザインの登録があることから、一度審査を通ったデザインを再び審査する対応は取っておらず、「審査が不適切であった場合や、審査後に社会情勢の変化があった場合などには、不適切なデザインが登録されたままとなってしまう」という。
その上で、このようなデザインを発見した人から「権利侵害通告フォーム」を通じて通告があった場合は、再度審査を実施しているとした。
なお、今回ハフポストが指摘したアイテムや同種のものを再度審査し、対応していることを明かしたが、「個別のデザインやクリエイターに対する弊社の対応の内容については開示していない」としている。