福島県産品めぐる立憲・原口一博議員の投稿⇒「ミスリード」米国が輸入規制を継続という誤解を招く恐れ

福島県産品を巡る立憲民主党の原口一博・衆院議員の投稿。ミスリードと判定しました。【ファクトチェック】

立憲民主党の原口一博・衆院議員が9月17日、「米国、福島農産物を10年間輸入禁止し、それを続けるという記事」とXに投稿した。

投稿には、韓国の左派系紙・ハンギョレ新聞の「“日本の原発汚染水放流決定”に肩入れした米国、福島農水産物を10年間輸入禁止」と題した記事が添付されている。

しかし、記事は2021年4月付のもので、アメリカは同年9月に福島県産品の輸入規制を撤廃している。

原口議員の投稿は、いまだにアメリカが福島県産品の輸入規制を続けているという誤解を招く恐れがあり、ミスリードといえる。

ハフポスト日本版はファクトチェックした。

原口議員の投稿

原口議員は9月17日午前2時30分頃、Xにこのように投稿した。

「【米国、福島農水産物を10年間輸入禁止し、それを続けると言う記事。】『日本の魚を食べて中国に勝とう』と言うなら、アメリカにも同じことを言った方が良いだろう。 『福島の魚を食べてアメリカに勝とう。』と」

19日午前8時現在、1600リポスト、2700「いいね」と広がっているが、投稿内容を否定するコミュニティノートがついており、「風評被害を招く」や「古い情報」といった声も多数みられる。

投稿にある「日本の魚を食べて中国に勝とう」というのは、公益財団法人国家基本問題研究所(JINF)が9月上旬に出した意見広告を指している。

意見広告は、東京電力福島第一原発の処理水放出をめぐり、中国が日本産水産物の輸入を全面停止したことを受けて出されたものだ。

つまり、原口議員の投稿は「中国と同様、アメリカも輸入規制をしているので、『福島の魚を食べてアメリカに勝とう』と言おう」と解釈することもできる。

そして、アメリカが輸入規制をしている根拠として、韓国の左派系紙・ハンギョレ新聞の記事を添付したとみられる。

原口議員の投稿
原口議員の投稿
Xから

投稿はミスリード

しかし、原口議員の投稿はミスリードだ。

前述の通り、ハンギョレ新聞の記事は2021年4月15日に登録(16日に修正)されたもので、アメリカはその5か月後に福島県産食品の輸入規制を撤廃している。

詳しく見てみる。

福島県庁の「ふくしま復興情報ポータルサイト」によると、福島県産食品の輸入規制をしている国・地域は2023年8月15日現在、中国、香港、マカオ、韓国、台湾、仏領ポリネシア、ロシアの7つ。

広い品目で輸入停止しているのは中国、香港、マカオで、韓国と台湾は一部を輸入停止、仏領ポリネシアとロシアは検査証明書の添付により食品の輸入を認めているとある。

一方、これまでに福島県産食品の輸入規制を解除した国・地域は48に上る。

直近では、欧州連合(EU)が福島県産の水産物など10県の指定食品に対する輸入規制を撤廃した

そして、アメリカに関しては、米国食品医薬品局(FDA)が2021年9月、日本産食品の輸入規制が科学的根拠に基づいて撤廃したことを発表

それまでは、福島県産のコメや原木シイタケなどについて輸入停止措置を講じていたが、21年9月22日から日本からの輸出が可能になっている。

アメリカが輸入規制を続けていると読める原口議員の投稿は、受け手に誤解を招く可能性がある。

福島県産食品の輸入規制の状況(2023年8月15日現在)
福島県産食品の輸入規制の状況(2023年8月15日現在)
福島県復興情報ポータルサイトから

◼️ファクトチェック記事のレーティングについて

ハフポスト日本版では、NPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。なお、今回の対象言説は、FIJの共有システム「Claim Monitor」で覚知しました。

また、これまでハフポスト日本版が実施したファクトチェックや、関連記事はこちらからご覧ください。

  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。

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