福岡市長選挙が11月18日に投開票され、無所属現職の高島宗一郎氏が無所属新人の神谷貴行氏に大差で勝利し、3選を果たした。
ただし、投票率は31.42%で過去最低となった。
■「筋肉動画」が話題に
今回の市長選挙は、福岡市が公募で制作した、投票を呼びかけるPR動画が全国的に話題となっていた。
「福岡市長選挙 投票前トレーニング」と題されたPR動画は、筋肉ムキムキのお兄さんが「投票に必要」とされる筋トレをするという内容。
ハフポスト日本版に対して、投票前に福岡市選挙管理委員会の担当者は「そもそも見てもらわないと広がらない」と狙いを語っていた。
結果的には、Twitterを中心に話題となった「筋肉動画」は、全3作の総再生回数が30万回を超え、情報番組「ZIP!」(日本テレビ系列)などでも取り上げられた。
また、選挙権が18歳に引き下げられてから初めての市長選ということもあり、動画以外にも多くの施策を行った。
初となる大学への期日前投票所の設置や、ウルトラマンを起用した啓発ポスターや特設サイトの制作などで、全世代に対して投票を促していた。
このような啓発活動に市選管が用意した予算は約5700万円に上った。
■「過去最低の投票率は残念」
しかし、蓋を開けてみれば投票率は過去最低。
2014年、啓発活動にほぼ同額の資金をかけて行われた前回の市長選から、7.31ポイント下げた。
この結果について、ハフポスト日本版では市選管の担当者に取材した。
投票率の低下の原因を尋ねると、「要因は一概には言えず、複数あると思うが、結果的に過去最低の投票率になったことは残念に思う」と話した。
動画をはじめとする施策は「入り口作り」とし、「(政策などの)複雑な話をいきなりすることはハードルが高く、先ずは福岡市長選の存在を知ってもらうために行った」とのこと。
投票前にはテレビや新聞からの問い合わせも多く、実際に取り上げられたため、「知ってもらうという点では一定の効果があった」と振り返った。
しかし、結果的に投票率の上昇は実現できなかったことから、「(市民にとって)知ることと投票に行くことは違う」と語り、「どうすれば投票してくれるのか」と首を傾げた。
市選管では11月20日現在、年代別の投票率などを整理している段階で、詳細な分析はまだ実施できていないとのことだ。
行政の監視を行うNPO法人「市民オンブズマン福岡」で代表を務める児嶋研二さんは、そもそも、今回の選挙は3選を目指す現職市長と共産党推薦の新人との一騎打ちという構図に対して「市民からの関心は低かった」と分析する。
その上で、筋トレ動画やウルトラマンは「確かに話題にはなった」が、「それで投票に行くかはハッキリ言って疑問。派手な宣伝よりも、これからの福岡市を議論することが大事だ」と話した。
市選管の「入り口作り」という意図に一定の理解を示しながらも、「税金を使っているのだから、投票率が上がらなかった以上、この施策でよかったのかを検証してほしい」と語った。