売り手市場とも言われている昨今の就活において、企業側が学生のニーズや最新の傾向を理解し、分析することが不可欠となっている。
法人会員向けに与信管理クラウドサービスを提供する「リスクモンスター」は、第10回「大学1、2年生が就職したいと思う企業・業種ランキング」の調査結果を発表。その内容を一部抜粋して紹介する。
【調査概要】
・調査名称: 第10回「大学1、2年生が就職したいと思う企業・業種ランキング」調査
・調査方法: インターネット調査
・調査エリア : 全国
・期間: 2024年6月25日(火)~7月8日(月)
・調査対象者: 大学1年生および2年生の男女
・有効回答数: 598サンプル
就職したい企業・業種は?大幅ランクアップした企業も
「大学1、2年生が就職したいと思う企業・業種ランキング」の1位は「国家公務員」(6.5%)。次いで2位が「地方公務員」(5.7%)3位が「任天堂」(5.0%)という結果となった。前回の調査で9回連続トップ2独占から外れた公務員が、上位2位に返り咲いた。
また、上位20社のうち半数近くが前回調査の20位以下からのランクインとなっており、「しまむら」(60位→14位)や「味の素」(42位→5位)、「ANA」(37位→6位)などの大幅な順位の変動が見られる。業種別では、製造業が10社(任天堂、味の素、パナソニック、大塚製薬、トヨタ自動車、ソニー、サンリオ、資生堂、山崎製パン、アップル)を占め、前回に引き続き最も多い結果となった。
男女別の集計では、男性の1位は「国家公務員」(回答率7.4%)で、前回1位の「任天堂」(5.0%)は3位。「JR東日本」「JR東海」「JAL」「ANA」など、交通インフラ業界の人気が高い結果となった。女性の1位は「地方公務員」(6.0%)で、前回1位の「サンリオ」(同4.3%)は6位。「ソニー・ミュージックエンタテインメント」「日本テレビ」「オリエンタルランド」などの娯楽・エンターテインメント業界や、「味の素」「資生堂」「しまむら」など、日常生活に密接する企業が多くランクインした。
希望年収は就活生よりも高額?
就職先選びで重視する項目については、上位3位は前回と同じ順位で、1位が「給与額」(49.2%)2位が「勤務地」(34.6%)3位が「福利厚生」(24.2%)という結果となった。今回から新たな項目として加えた「勤務形態(出社またはオンライン)」を重要視する割合は、全体の9.9%で9位だった。
また、最低限実現したい生涯最高年収は「600万円~800万円」(19.4%)が前回調査に続いて最も多く、次いで「800万円~1,000万円」(17.7%)「1,000万円~2,000万円」(15.9%)という結果となった。2024年5月に就活生を対象に実施した「第10回 就職したい企業・業種ランキング」の主な回答層が「400万円~800万円」だったことを踏まえると、大学1、2年生の方が就職活動を行う学生よりも高額な年収を希望する傾向にあることがうかがえる。
就職先選びにおける学生の行動基準について調査したところ、将来望む就業の形として最も多かったのは「出世して高収入を得たい」(25.3%)。ついで「プライベートを優先させたい」(17.9%)「優良企業で安定的に働きたい」(17.1%)という結果となった。
「出世して高収入を得たい」については、学年別・性別・文理別のすべてで1位を占め、特に「1年生」(28.9%)と「男性」(28.5%)では、2位の「プライベートを優先させたい」との差が10pt以上開いた。また、将来望む就業形態と、就職活動のための準備活動の関係性を集計したところ、「スキルアップにつながる仕事がしたい」と考える学生のうち、「特に何もしていない」と回答した割合は20%を下回り、キャリアビルディングに向けて目的意識をもって活動する傾向が見られた。
同社は調査を振り返り「昨今の就職活動は、大学3年生頃から企業のインターンシップなどに参加し、企業や仕事の雰囲気を感じ取りながら、徐々に自身が就職するイメージを醸成させていくスタイルが主流です。そのため、大学1、2年生の多くは、『就職はまだ先のこと』と捉えやすく、就業実態に関する知識やイメージが漠然とした状態であると考えられます」と推察。
さらに「大学1、2年生が、就職活動開始までの1~2年間を有効活用し、『自身にとって最良の就業』を実現することを願います」とコメントし、調査を総括した。