不登校児の居場所「フリースクール」その良さを失わずに、行政がどこまで支援ができるのか?

不登校は子どもたちからの一つのメッセージです。

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

本日は東京都北区に本部があり、不登校児を受け入れる「フリースクール」の元祖的存在でもある東京シューレさんが北区などと共催する

「北区子どもの多様な育ちを支える地域支援者団体等情報交換会」

に参加をしてきました。これは都議会議員としてではなく、「子ども食堂あゆみ」を運営する青年会議所メンバーとしての参加です。

何を隠そう私自身、以前にブログに書いた通り小学校低学年の時にまさに不登校児だった経験がありまして、元当事者の一人としても解決したい政策課題の一つであります。

文部科学省の担当者から不登校児童・生徒に関する現状と国の施策についてプレゼンがあった後、フリースクール事業者や「子ども食堂」などの子ども支援に携わる団体関係者、それに行政関係者が加わりみっちりとグループディスカッションが行われました。

最新の調査で全国に約18万人いるとされている不登校児は僅かながら増加傾向にあり、不登校期間が長期に渡る児童・生徒が過半数を占める状態が続いています。

そんな彼らに対する居場所提供・学習支援として大きな力になっているのが、民間事業者が主体となって運営される「フリースクール」です。

このフリースクールのあり方や不登校児への対応については、長期間に渡って議論が行われてきた結果、ついに平成28年に議員立法によって新たな法律が制定されました(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)。

これにより学校以外の機関(教育支援センターやフリースクールなどの民間団体)における相談・指導が出席扱いされる機会等が拡充されたものの、その用件として「学校復帰」が前提とされているなど、不登校児への対応・居場所づくりとして十分なものになっているどうかが、未だに大きな課題として残っています。

その他にも不登校・フリースクールを巡る課題は、文字通り多岐に渡っています。

法律は制定されればそれで終わりではなく、実際に教育施策の「実行部隊」である基礎自治体が実行にうつさなければ、大きな効果は得られません。

ところが、不登校児への対応を行う行政機関「教育支援センター(適応指導教室)」が設置されている自治体は6割程度に留まっており、民間事業者・フリースクールとの連携が密に行われている自治体も極めて少ない状態となっています。

まず前者の教育支援センターについては、不登校児およびその保護者からあまり良い評判を聞かないというのが個人的な所感です。

センター長が「元校長」などの場合が多く、雰囲気として「学校に近いもの」になりがちなため、「学校から逃げてきた子どもたちに居心地が良いか?」と言われれば、なかなか難しいのではないでしょうか。

そこで活用が望まれるものこそがフリースクールなわけですが、多くのフリースクールは自主財源に頼っており規模が小さく、また不登校児・保護者も利用負担が発生することから利用に二の足を踏みがちです。

「じゃあ、行政が補助金を入れて事業者や利用者を支援すれば良いではないか!」

ということになるものの、ここが難しいパラドックスを含んでおりまして、行政が補助金を出せば当然に「口を出す」裁量も大きくなり、すると民間が独自色を出していたフリースクールはその良さを失ってしまい、行政が運営する「教育支援センター化」してしまう恐れがあります。

...であるならば

「そんなの、今のフリースクールの運営には一切の口は出さず、補助金だけ出せば良いじゃないか!」

と勇ましくいきたいところなのですが、そこが難しいのが公金投資に密接不可分な「行政の中立性・公的性格」です。

そもそも教育者や議員の中には

「公立学校があるのだから、そこの改善・機能強化をするべきで、フリースクールなどを支援すべきではない」

「フリースクールの支援を大々的に行えば、不登校を助長することになる」

「それでも公金を入れるのであれば、しっかりと公の基準に基づいた教育を行うべきだ!」

という意見もかなり根強く、諸手を挙げてフリースクールを支援できない複雑な背景があります。

この問題について、今すぐに解決できる魔法の政策はないのですが、議論をしていて思ったのは渋谷区における「スタディクーポン」方式の有用性です。

民間の力は活用したい。

しかし税金を使うとなると、様々な制限がかかってしまう。

このジレンマを突破するために、クラウドファンディングで寄付を募り、それを原資として政策資金とする「スタディクーポン」の手法は、一つのヒントになるのではないかと感じた次第です。

しかしいずれによせ、不登校児への社会的な理解やフリースクールの認知がもっと進まない限り、こうした手法を行政が実施する支持も得られませんし、多額の寄付を募ることも難しいでしょう。

まだまだ「不登校はいけないこと」「不登校児が多いなんて、学校・自治体の恥だ!」と考える大人たちが多いですが、不登校は子どもたちからの一つのメッセージです。

多様化する社会の中で、既存の手法や居場所(学校)だけでは解決できない課題を認め、それに向き合うことが必要ではないでしょうか。

東京都も平成30年度の教育庁施策に「フリースクール」の文言が入ったという前進はありますが、まだまだ大々的な支援や連携には至っていません。

引き続き私としても政策調査を続け、不登校問題やフリースクールの認知向上に努めるとともに、スタディクーポンなど様々な手法を模索して参ります。

それでは、また明日。

(2018年7月17日おときた駿ブログより転載)

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