世界中で大人気のゲーム「フォートナイト」が、ロサンゼルスを拠点とするスタートアップPlayVS(プレイバーサス)の働きにより、米国の高校と大学に公式スポーツとして導入される。
PlayVSはEpic Games(エピック・ゲームズ)と提携し、リーグ戦形式の対戦を、大学生や高校生を対象に設定した。またこれにより、PlayVSは大学の市場に参入することとなった。
PlayVSは、昔ながらのバスケットボールやフットボールと同等に、eスポーツを高校に導入してもらうという使命のもと2018年4月に創設された。全米州立高校協会と手を組むことで、高校(または父兄、生徒自身)はプレイヤー1人につき64ドル(約7000円)を支払うことでリーグに参加し、一般的なスポーツと同じように他校と試合ができるようになる。
だが、PlayVSの提携相手は、全米州立高校協会(全米大学体育協会の高校版)だけではない。ゲームパブリッシャーそのものとも提携をしている。それがPlayVSを一歩前進させた一助になったと、創設者のDelane Parnell(ディレイン・パーネル)氏は言う。
ほかの企業は、ゲームを軸に有料の対戦リーグを設定しているが、パブリッシャーと直接提携するという形は皆無ではないが非常に希だ。そうしたスタートアップは、ゲームの知的財産権を持つパブリッシャーの一存で潰されてしまう恐れがある。
PlayVSは、世界でもっとも人気の高いゲームのメーカーであるEpic Gamesとの提携を果たした初めての企業だ。またこうしたパブリッシャーとの提携により、PlayVSは、学校や団体の伝手をほとんど必要としない形でその経験を商品化できる。プレイヤーは、ただPlayVSにサインインして、予定されている試合に参加するだけでいい。そしてPlayVSは、その試合から吸い上げた数値データや見識を、プレイヤー、コーチ、ファン、さらには人材スカウト担当者に提供できる。
PlayVSにとって、大学という世界は新しい挑戦になる。高校に拡大したお陰で全米州立高校協会は急速に発展的な成長を遂げた。創設以来、1万3000校を超える高校がPlayVSを通じてeスポーツ代表チームを待機リストに登録している。これは、全国の高校の68%にあたる。PlayVSは、比較対象として、フットボールクラブのある高校は、全米で1万4000校を少し超える程度だと話していた。
全米州立高校協会は全米大学体育協会とつながりがあるものの、公式な提携という形はとっていない。そのためPlayVSは、各大学を個別に訪ねて彼らの技術を売り込まなければならないのだ。だが幸いにも、彼らは世界で一番人気のあるゲームを武器にできる。しかも今は、多くの大学がeスポーツによる奨学金やeスポーツ課程の開講を検討している好機だ。
PlayVSが銀行に相当額の現金を預けていたとしても、それが障害になることはないだろう。設立以来、同社は9600万ドル(約105億円)を調達している。
その他のPlayVSのゲームタイトルとは異なり、フォートナイトの第1シーズンは、登録ユーザーなら無料で参加できる。これはEpic Gamesとの提携による恩恵だ。第1シーズンの登録締め切りは、高校は2月17日、大学は2月24日となっている。シーズンの公式スタートは3月2日を予定している。
参加形式はデュオ。団体は2人1組のチームをいくらでも登録できる。トップになったチームはプレイオフに招待され、5月のチャンピオンシップ出場をかけて戦うことができる。
(2020年1月25日TechCrunch Japan「「フォートナイト」が米国の高校と大学の公式スポーツに」より転載)
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