千葉県我孫子市で「子ども食堂」が開始~イメージは近所の駄菓子屋さん~

「単純にあったかいものを食べて子供たちを良い気持ちにさせたかったんです」(石井亜矢さん)

我が国の貧困状態にある17歳以下の子どもの割合は16.3%。実に6人に1人という計算になる。一人親家庭や共働き家庭の増加等に伴い、体の資本である「食」がおざなりとなってしまっていることを危惧し、子どもたちに無料または格安で食事を提供する「子ども食堂」が全国的に注目を浴びている。

東京都では豊島区や練馬区にてNPO法人等が取り組みを進めている。筆者の住む千葉県我孫子市においても子ども食堂が始まった。発起人の石井亜矢さんに取材した。

水野:なぜ「あびここども食堂」を始めようと思ったのですか?

石井:子どもの第三の居場所作りという発想です。

子どもの貧困問題をニュースで見て、飽食の時代にご飯が食べられない子どもがいることにショックを受けました。市内でも孤食・独食を目にすることがあってファーストフードで夜遅くに子どもたちがご飯を食べている姿に切なくて寂しい気持ちになりました。そして我孫子には一人親が意外と多いことを知り、何かお手伝いしたいと思いました。

単純にあったかいものを食べて子供たちを良い気持ちにさせたかったんです。

水野:いつも精力的に市民活動をされている亜矢さんですが、普段はどんな活動をしていますか?

石井:ハコカラというレンタルコミュニティスペースの運営と管理をしています。イベント企画もしています。アラフォーアイドルの「サムライローズ」としてメジャーデビューもしています。

(写真:石井亜矢さん 場所:ハコカラ)

水野:これまでの市民活動が今回のこども食堂にもつながっているんですね。

石井:実は大人の皆さんも地域で居場所がほしかったと思うんです。我孫子が大好きという市民がたくさんいて、そういった方々がハコカラを始めて自然と集まってきました。地域回帰している気がします。

水野:具体的にこども食堂の内容を教えていただけますか?

石井:地域のボランティアの5名の女性で立ち上げました。できれば我孫子の採れたて野菜で、我孫子のお母さんたちの手で作ったものを提供したいと思っています。今のところは第3木曜日の月1(17:00~20:00)ですが、イベント化してしまってはいけないので、回数を増やして継続していきたいです。

水野:全国的に子ども食堂が展開されていますが、特に我孫子特有のポイントはありますか?

石井:我孫子は農業が盛んなので、我孫子の採りたてのおいしい野菜とお米を提供して子どもたちにも我孫子のことをもっと知ってもらいたいと思っています。農家と連携もしていますし、地産地消も推進していきたいです。

水野:行政との連携やこども食堂を行う上でのコストはどうなっていますか?

石井:自分が管理している場所(ハコカラ)を無償提供しています。お米に関しては地元の農家のご協力です。まずは自費でも進めてしまおうと。

基本的には地元の方々が手料理やお野菜や卵をもってきてくれるような、市民の手による子ども食堂を作っていきたいです。まぁ、行政が手助けしてくれれば、それにこしたことはないのですが(笑)。子ども一人をおなか一杯にすることは大人にとっては簡単なことのはずなんですよね。

水野:今後、「あびここども食堂」を今後どのように展開していきたいですか?

石井:まずは継続していくこと。近所の駄菓子屋さんのような存在になりたいんです。親も安心でしょ。貧困家庭とかひとり親とか線を引くことはやめようと思っています。地域でみんなで子どもを見ようよ、という雰囲気を作っていきたいです。大人がレッテルを貼っちゃってる部分がありますが、ここに来た子どもたちがみんなお友達になれて、みんな笑ってくれていれば良いですね。

我孫子は適度に都会で適度に田舎という土地柄で、我孫子だからこそできる。こういう我孫子市の長所を模索していきたいと思います。

難しいことはわからないけれど、ビジョンとしては移動図書館があるように移動こども食堂があっても良いと思うんです。みんなで公園でご飯食べたら美味しいですよね。そういうイメージです。

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