インフルエンザが流行する季節が近づいています。流行に備え10月1日から全国でワクチン接種が始まりました。今年は新型コロナウイルスの感染が広がる中、インフルエンザと新型コロナの同時流行がおそれられています。
新型コロナを予防するワクチンはまだありませんが、インフルエンザはワクチンで予防したり重症化を防ぐことができます。インフルエンザワクチンはいつまでに打てばよいのでしょうか。
インフルエンザは12月〜4月に流行
「インフルエンザは例年気温や湿度が低下する12月〜4月に流行し、1月末〜3月上旬にピークを迎えます。ワクチンの予防効果が期待できるのは、接種した2週後から5か月程度と考えられているので、できれば11月中、遅くとも12月初旬までにはワクチン接種を終えてください」と言うのは横浜相原病院(横浜市瀬谷区)の吉田勝明院長です。
厚生労働省は重症化しやすい高齢者に確実に届くよう、65歳以上の高齢者などの接種を優先し、それ以外の人には待ってもらうよう呼びかけています。
「今年は新型コロナが流行しているため、インフルエンザワクチン需要が高まる可能性があります。そのため、過去5年で最大量の約6300万人分(昨シーズンは約5900万人分)の供給が予定されていますが、より必要とされている人に確実に届くように接種開始期日について厚労省は次のように呼びかけています」(吉田院長)
▼10月1日〜:65歳以上の人、60〜64歳の慢性高度心・腎・呼吸器機能不全者などの定期接種対象者
▼10月26日〜:上記以外の人
生後6か月からワクチンを受けられる
インフルエンザワクチンは何歳から受けられるのでしょうか。
「生後6か月から受けられ、生後6か月〜12歳のお子さんは原則2回、13歳以上は原則1回接種となっています。小さな子は2回接種したほうが抗体価(インフルエンザウイルスに反応できる抗体の量)が上昇するからです」(吉田院長)
ワクチンの有効率は60%
インフルエンザワクチンを接種しても、インフルエンザに感染することがあります。
「ワクチンで感染を完全に抑えることはできません。インフルエンザワクチンの一番の効果は、肺炎や脳症などになる重症化を予防することです。国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している人について、34〜55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったと報告されています」(吉田院長)
別の研究によると、6歳未満の小児はインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告されています。
ちなみに、有効率60%はワクチンを接種すると60%の人がインフルエンザにかからないという意味ではありません。ワクチンを接種しなかった人の発症率が30%、ワクチンを接種した人の発症率が12%とすると、ワクチン接種で発症率を60%下げたという意味です。
ワクチン接種にいくらかかるの?
ワクチン接種は病気の治療ではないため健康保険が適用されません。原則的に自己負担で、費用は医療機関によって異なりますが、1回接種で3000円前後、2回接種なら5000円前後といったところです。
「65歳以上など定期接種の対象者は、市町村によって費用の一部が公費負担されて安くなったり無料になることがあります。また、定期接種の対象者でなくても市町村が独自の助成事業を行っている場合があります。市区町村(保健所、保健センター)、医師会、医療機関、かかりつけ医などに問い合わせてください」(吉田院長)
新型コロナもインフルエンザも同じように飛沫感染と接触感染でうつります。今のように新型コロナ感染予防でマスクと消毒を徹底して社会的距離をとっていれば、インフルエンザの流行も抑えられるという見方もあります。
しかし、備あれば憂いなしです。インフルエンザと新型コロナの同時流行を避けるためにインフルエンザワクチンの接種を積極的に考えてはいかがでしょうか。
参考資料など
厚生労働省「季節性インフルエンザワクチン接種時期ご協力のお願い」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou18/index_00011.html)、厚生労働省「インフルエンザQ&A」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html)
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