2021年秋に、アメリカのプロスポーツ界がジェンダー平等に一歩近づくことになる。
アメリカ・ウィスコンシン州を拠点とするNBAチーム「ミルウォーキー・バックス」は9月15日、チームのテレビ中継の実況アナウンサーに、リサ・バイントン氏が就任すると発表した。
NBAの発表によると、アメリカの男子メジャープロスポーツチームで、女性がフルタイムの実況アナウンサーに選ばれたのは初めてだ。
(バックスのツイート)リサ・バイントンは女性で初めて、男子メジャープロスポーツチームのテレビ実況アナウンサーに就任します。ミルウォーキーにようこそ、リサ!
歴史的だが実績によって選ばれた
バイントン氏は、35年間バックスの実況アナウンサーを務め、2020-21シーズンで引退したジム・パシュケ氏の後任に選ばれた。
バックスのピーター・フェイギン社長は声明で、「リサをバックスファミリーの一員として迎えられること、そして彼女のような才能あふれる実況アナウンサーを放送チームに迎えられることをとても嬉しく思います」と、バイントン氏を歓迎している。
さらに、今回の人選には女性初という歴史的な一面もある一方で「リサは並外れたスキルと経験で、この地位を獲得した」と述べて、バイントン氏のこれまでのキャリアが、同氏を選んだ大きな理由だと説明した。
これまでもガラスの天井を破ってきた
バイントン氏は大学時代はバスケットボールとサッカーの選手で、放送の世界に飛び込んでからは、様々な放送局で実況やレポーターとしての経験を積んできた。
これまでも、スポーツ放送界のガラスの天井を破っており、2021年3月には、NCAA(全米大学スポーツ協会)男子バスケットボールの試合で、初の女性アナウンサーとして実況を担当した。
また、2017年にはビッグテンネットワークで、女性初の大学フットボール実況アナウンサーを務めた。
さらに、2021年の東京オリンピックでは女子と男子のサッカーの試合で実況をし、2019年の女子サッカーワールドカップでも実況を担当した。
他にも、NCAA男子バスケットのレポーターや、NBAとWNBAの試合での実況経験もある。
バイントン氏は「このような機会をいただけて、そしてミルウォーキー・バックスのようなトップクラスのチームと働くことができてとても嬉しいです」と喜びを語っている。
また、CBSの取材で「(今回の人選は)試合を見る女の子たちだけではなく、男の子たちに同じように重要な意味を持つと思います。自分の後に、2人目、3人目、4人目が続き、女性アナウンサーの実況が当たり前になり、時代が変化するのではないでしょうか」と述べた。
ジェンダー平等の先駆者でテニス界のレジェンド、ビリー・ジーン・キング氏もバイントン氏の就任を歓迎し「歴史を作ったバックスとリサ・バイントン、おめでとう」とお祝いのメッセージを送っている。
NBA 2021-22シーズンは、10月19日(現地時間)にスタートする。