(時事通信社)
俳優の坂口憲二さん(写真)が4月1日、病気の治療に専念するため、無期限で芸能活動を休止すると公表した。坂口さんの芸能活動休止につながった「特発性大腿骨頭壊死症」とは、どんな病気なのか。
太ももの付け根、股関節に組み込まれている、ボールのような形をした骨。その部分は「大腿骨頭」と呼ばれている。なんらかの理由で大腿骨頭の周りに血が巡らなくなると、組織が死んで「壊死」してしまう。
壊死につながる血流の減少がなぜ起きるかは、突き止められていない。ただ、骨が壊死してもすぐに痛みなどの症状が出るわけではなく、大腿骨頭がつぶれた時に痛みが出始める。最初のころの痛みは、安静していれば2~3 週で消えることも多いが、また痛みが強まったときには、症状が進行している。
厚生労働省の資料には「(壊死などの)発生と発症の間には数ヵ月から数年の時間差があることを十分に認識すべきである」としている。
年間2000~3000人が発症し、年代は30~50代が多いとされている。厚生労働省がまとめた「重篤副作用疾患別対応マニュアル」によると、「新たに発生する特発性大腿骨頭壊死症のうち、約50%がステロイド性」という。ほかに、大量に酒を飲む人が発症することもある。ただ、どちらにも当てはまらない人が発症することもある。
治療は壊死した部分を、手術で切ったり、人工関節に置き換えたりする方法がある。ただ、治療は長期間に及ぶこともある。その間、坂口さんのように仕事を控えたり、休止しなければならないこともある。厚生労働省の資料では「医療経済学的に問題が大きく、青壮年期に発症しやすく、労働能力を著しく低下させることから労働経済学的にも大きな損失を生じる」と指摘されている。