メスは「死んだふり」をして望まないオスを避けていた。カエルの繁殖行動が明らかに

自らの体に群がるオスたちから逃れるため、メスガエルたちは3つの行動をとっていたそうです

メスのカエルたちは、時には自分の命を危険にさらすような交尾をただ黙って受け入れているわけではないようだ。

ヨーロッパアカガエルの繁殖行動について調べた研究者が、これまで知られていなかったメスの行動をロイヤル・ソサエティー・オープン・サイエンスに10月11日付で発表した。

ヨーロッパアカガエル
ヨーロッパアカガエル
imageBROKER/Farina Grassmann via Getty Images

メスがとった3つの行動

カエルなどの両生類の中には、「爆発的繁殖(エクスプローシブ・ブリーディング)」をする種がいる。

爆発的繁殖とは、雨で一時的にできた池などに多くの個体が集まり、短期間に交尾をするというもの。

ヨーロッパアカガエルもこの爆発的繁殖で子孫を残す生き物で、交尾の際にオスがメスに殺到し、体によじ登るなどして激しく争うほか、メスに対するハラスメントや、強要、脅しのような行動も見られるという。その結果、複数のオスによじ登られたメスが、死んでしまうこともある。

交尾をしようとメスの体に重なるヨーロッパアカガエルのオスたち
交尾をしようとメスの体に重なるヨーロッパアカガエルのオスたち
Ger Bosma via Getty Images

今回、ベルリン自然史博物館の研究の一環としてヨーロッパアカガエルを調べたコンラート・ローレンツ動物行動学研究所のカロリン・ディトリッヒ博士らは、オスはより多くの卵を持つ体の大きなメスを交尾相手に選んでいるのではないかと考え調査を行った。

しかし観察の結果、オスは体の大きさに関係なくすべてのメスに興味を持っていたことがわかったという

一方メスの方は、自らの体に群がるオスから逃れるために3つの行動をとっていた。

それは体を回転させる、声をあげる、そして擬死、つまり死んだふりだ。

死んだふりをしたと思われるメスは、手足を体と胴体から平らに広がるようにのばし、死後硬直したような状態になっていたという。

ディトリッヒ博士は、カエルに死んだふりをしようとする意思があったかどうかを断定するのは難しいが、少なくとも人間の目から見てカエルは死んだように見えた、とニューヨーク・タイムズに説明している。

またこれらの行動でオスから逃れられたのは、体の小さいメスの方が多かった。研究者たちは、これは体が小さい故に、オスがメスの体にしがみついているのが難しいからではないかと考えている。

また「死んだふり」をしたのも小さいカエル、つまり若いメスが多かった。これについてディトリッヒ博士は「繁殖経験が少ない若いメスのストレス反応である可能性がある」とガーディアンに述べている。

一方で、研究者らはこれらの行動にオスを避ける以外の目的がある可能性も否定していない。

例えば、体を回転させる行動は、オスを振り払う効果がある一方で、より強く忍耐強い個体を選ぶ方法である可能性もある。

望まない交尾を避けるために「死んだふり」をする生き物は多くはないものの、これまでにもクモ、トンボ、そしてイベリアトゲイモリという両生類でも観察されているという。

ディトリッヒ博士らは「爆発的繁殖をするカエルのメスが、これまで考えられていたほど受け身で無力ではないことがわかった」としている。

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