トランプ大統領の選挙広告で、自身のコメントを使用された米国立アレルギー感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ博士が、コメントの使用を許可していない上、文脈を完全に無視して使われていると苦言を呈した。
ホワイトハウス新型コロナウイルス対策本部メンバーとして、アメリカの新型コロナウイルス対策を主導しているファウチ博士。
博士のコメントが使われたのは、トランプ陣営の30秒の選挙広告だ。
「トランプ大統領はウイルスに正面から立ち向かいました。これがリーダーのあるべき姿」というナレーションの後に、「これ以上のことが出来るとは思えない」と話すファウチ博士の動画が使用されている。
「約50年の公務で、私は一度も候補者の支持を表明したことはありません。私のコメントは、数カ月前に連邦の公衆衛生当局者の人たちの努力について述べた発言です。発言は私の許可なしに共和党の選挙広告で使われ、前後の文脈を無視されました」
ファウチ氏の批判に対してトランプ大統領陣営コミュニケーションディレクターのティム・マートウ氏は、「コメントはファウチ博士自身の言葉です。これは全国放送の番組のインタビューでファウチ博士がトランプ政権を称賛したものであり、ファウチ博士の口から述べられた正確な言葉です」とハフポストUS版に回答し、広告内のコメントは正確だと強調した。
ファウチ博士のコメントは元々、3月のFOXニュースのインタビューで述べられた。
このインタビューでファウチ氏は、彼と彼のチームが新型コロナウイルス対策に全力を尽くしているという意味で「どんな状況でも、これ以上のことが出来るとは思えません」と述べていた。
インタビューでのファウチ氏の言葉は、次の通り。
「私は夜まで1日中、電話で繋がっています。夜というのは12時や午前1時、2時です。私だけではありません。私たちのチーム全員が同じように働いています。毎日です。どんな状況でも、これ以上のことが出来るとは思えません」