国連は8月から、古着のアップサイクルやリサイクルを通して「持続可能なファッション」を作り出すことを目指す「ファッションチャレンジ」をスタートした。
アップサイクルとは、古着や廃材を使って商品としての価値を高めるような加工をし、新たなものをつくるという意味。廃棄物を再資源化したり、再利用したりするリサイクルとは異なる。
国連では、全世界の人たちに向けて、「#ActNow」「#ファッションチャレンジ」などのハッシュタグを付けて、アップサイクルやリサイクルを実践したファッションの画像をSNSで投稿することを呼びかける。9月23日に開かれる国連の「気候行動サミット」に向けたキャンペーンの一環だ。
国連広報センターによると、衣服の製造は気候変動に大きな影響を及ぼすといい、一例としてこんなデータがあるという。
・繊維産業の温室効果ガス排出量は、世界全体の排出量の約10%を占める。
・繊維産業は全世界の廃水の約20%を生み出している。
・繊維素材のほとんどが再利用可能にもかかわらず、その85%が最終的に埋め立てもしくは焼却処分をされている。
そんな中、ファッション業界も動き出している。着古した衣類やペットボトルから再生したポリエステルを使って製品を作ったり、衣料品を回収するシステムをつくったりするメーカーがすでに現れている。
2018年12月には、プーマやH&Mといった43の大手ブランドなどが、気候変動に対応するための具体的な目標を記した「ファッション業界気候行動憲章」に署名した。2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにすることなどを目指すという。
国連広報センターの根本かおる所長は「ファッションチャレンジ」の狙いをこう語る。
「私自身も洋服が好きなんですが、自分が買った洋服のメーカーが、実は環境を破壊していたり、人権を侵害していたりしたら、夢が打ち砕かれますよね。メーカーには、夢や期待を持って商品を買ってくれる消費者の期待を裏切らない行動が求められます」
「同時に、そうした行動を起こすことは、企業にとって痛みをともなうこともある。消費者のサポートがなければなかなか広がらない。消費者の意識が養われて初めて、好循環が実現すると思います」
国連広報センターでは8月8日午後7時15分から、公式Facebookページで、「ファッションチャレンジ」のスタートを記念したトークイベントを動画配信する。根本所長がファシリテーターをつとめ、ファッション産業の気候変動への影響や、「ファッションチャレンジ」キャンペーンの狙いについて語る。
衣料やプラスチックのリサイクル事業を展開する「日本環境設計」(東京都)の岩元美智彦・取締役会長、エル・ジャポンの坂井佳奈子・編集長、ハフポスト日本版の小笠原遥・ニュースエディターも登壇し、それぞれの取り組みを語る。視聴者からの質問も受け付ける。