今やコンビニに欠かせない存在となっている、各社オリジナルのドリップコーヒー。
淹れたての美味しいコーヒーを手頃な価格で飲んでいる私たちだが、消費量の多さも相まって、熱帯林消滅の原因になっている側面もある。
ファミリーマートは、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD※1)の開示提言に基づき、オリジナル商品のカウンターコーヒー「ファミマカフェ」で使用しているエチオピア産のコーヒー豆の栽培状況についてレポートにまとめた。TNFD提言に基づいた情報開示は大手コンビニでは初の取り組みとなる。
※1 TNFD:民間企業や金融機関が、自然資本及び生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価し、開示するための枠組みを構築する国際的な組織
レポートで明らかになった「課題と工夫」
調査では、上記コーヒー豆の産地において「水・土壌への依存」や「コーヒー豆の生産や農地転換による森林減少」などによる生態系への影響が明らかになった。
一方で、同地が元の森林を活かした農園となっていることや、シェードツリー(コーヒーの木を直射日光から守るため、日傘のような役割をする木)の植林により水の使用を減らしていること、不要なコーヒー果実部分を肥料に再利用するなどの「伝統農法」が行われていることも確認された。
また、収量拡大に向けては、新たに森を農地開拓するのではなく、枝の選定を行うことにより既存の農地を活かすといった「農事指導」を現地の輸出会社が行っているという。
ネイチャーポジティブに向けて
調査結果を受けて、ファミリーマートは「上記コーヒー豆の持続的な調達を行うためにも、『伝統農法』の継続などの『農事指導』の対応を輸出会社を通じて行っていく予定です」「今後も当社のオリジナル商品の原材料に関する調査・分析を継続して行い、生物多様性の保全、ネイチャーポジティブ(生物多様性の損失を止め、回復傾向へと向かわせること)に向けた取り組みを推進していきます」と、今後も環境に配慮した持続可能な栽培を目指す姿勢を示した。
SDGパートナーズ代表取締役CEOの田瀬和夫さんは 「コンビニエンスストアという消費者に大きな影響を持つビジネスが、扱う商品の出自と自然への依存・影響を認識し開示することには大きな意味があります。ファミリーマートのイニシアティブを高く評価します」とコメントした。
また同社では、「ファミマカフェ」の「モカブレンド」「アイスモカブレンド」の販売数量に応じて、エチオピアのこどもたちの教育環境の改善などに役立てられる寄付も実施している。寄付金は現地のトイレの設置や、コーヒーの文化を継承する教科書の寄付に役立てられている。
今後も、同社のコーヒーを通じた循環型の仕組みづくりに注目が集まりそうだ。