フェイスブックの従業員は6月1日、トランプ大統領が投稿した扇動的な発言に、何も措置を取らなかった同社に対して、”ネット上での抗議活動”を行なった。
世界中に4万8000人いる従業員の中で、どれほどの人数が、会社を休んで抗議活動に参加したかは明らかになっていない。現在従業員の多くは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、自宅から仕事をしている。
オンライン抗議に参加した多くの人は、警察官の暴力的な行為に反対するため、全土で実際に行われているデモに参加することを計画していたと話す。
「#BlackLivesMatter に賛同するため、今日は有給休暇をとることにしました。フェイスブックがこの世界の現状に対して、取っている態度をとても残念に思うし、非常に恥ずかしい。フェイスブックファミリーのみなさん、同じように感じているのなら、参加してこの抗議活動を計画しましょう。ツイートに「zuck bucks」(Facebookのリブラ仮想通貨計画に反対するコミュニティ)と入れてください。黒人をサポートする団体を支援しましょう!!」
ハフポストの取材に対し、同社は実際に一部の従業員が抗議活動を行なったことを認め、反対の意を唱えるよう進めたとしている。
「多くの人、特に黒人コミュニティが感じている痛みを、我々も認識している」とフェイスブックの広報担当者はメールで述べた。「従業員に対しても、リーダーが言っていることに反対するときは、その意思を表立って表明するよう推奨している。我々は難しい決断を迫られており、彼らの誠実な意思表明を求め続けるつもりだ」
「フェイスブックは、ルールに反すると思われる投稿に対して何の措置も取らないと決めた。そのため私は今日、ネット上での抗議活動に参加します。」
ミネアポリスの警察官に暴行を加えられ、亡くなったジョージ・フロイドさんの死を受け、国中でデモ活動が活発になる中、トランプ大統領は「略奪が始まると銃撃が始まる」など、扇動的なメッセージをSNSに投稿し続けている。この言葉は、1960年代に公民権運動が盛んだった当時のフロリダ州マイアミ警察署長、ウォルター・ヘッドリー・ジュニアによって発せられた言葉として知られる。
ツイッターはこのトランプ大統領の投稿に対し「暴力を賛美する内容」で、プラットフォーム規則に違反するとして警告のラベルを貼った。同社はツイートを削除することはせず、同ツイートを「公共の関心」であるとし、引き続き閲覧可能にしている。
対照的に、フェイスブックはそういった措置を全く取っていない。CEOのマーク・ザッカーバーグは自身の決断を、言論の自由を尊重するためだとしている。
「多くの人々が、大統領の投稿をそのままにしていることに憤りを感じているでしょう。」と記した上で、「しかし、ポリシーに反するような特定の害や危険、それによって引き起こされるリスクがない限りは、できるだけ多くの表現を認めるべきだ、というのが我々の立場なのです」
フェイスブックで働く多くの従業員はネット上で、この同社の対応に反対の声を上げている。
「どうしたらいいか分からないが、何もしないということが受け入れがたいということはわかる」フェイスブックでプロダクト・デザイナーを務めるジェイソン・スティアマンさんはツイッターにこう投稿した。「私は、マークの決断に真っ向から反対するし、トランプのツイートに関して何もしないことは、明らかに暴力を促進させていると考える。フェイスブックの中で私は孤立してはいない。人種差別において、中立的な立場などない」
ソフトウェアエンジニアを務めるローレン・タンさんは「トランプの投稿に対して、何もしなかったフェイスブックのことを考えると、ここで働いていることを恥ずかしいと思う。私は徹底的に反対する。技術的な仕事で活躍したり、賢く親切な人々と共に働くことはとても楽しいけれど、こればかりは間違っている。沈黙は共犯だ」