Facebookといえば、ここ最近は他のSNSに比べて政治家による事実と異なる内容の投稿や広告への対処に消極的な姿勢を示してきたことで、企業からの広告ボイコットなど批判に晒されてきました。しかしいまFacebookは、この11月の大統領選挙を前に、仮にトランプ大統領が負けて、さらにその結果を受け入れずにSNSを通じて選挙無効を主張し始めた場合を想定して、様々なシナリオを用意して対応する準備をしています。これはもし本当にそうなったとき、Facebookはこれまでと違って積極的な行動を起こす準備をしているということです。
Facebookが具体的にどのような準備をしているかは定かではありませんが、New York Timesによれば「Facebookはトランプ大統領もしくは大統領の支援団体が選挙の無効を訴え始めることを含め、選挙後のシナリオを複数準備している」報じています。たとえば、トランプ大統領が選挙で負けた場合にそれを認めず「残りの4年の任期を獲得した」と虚偽の主張をしたりした場合や「郵便投票の票が多数紛失した」などと発表して選挙を無効化しようとしたりすることを予想しているようです。
トランプ大統領はこれまでにも、郵便投票は途中で票が盗難に遭ったり、すり替えられる可能性があると述べ 、郵便投票は詐欺や不正行為の温床だなどと根拠も証拠もない主張を繰り返してきました。
そして大統領支持者の多くがそのような主張を信じて直接投票に行き、一方で民主党支持者の多くが新型コロナを嫌って郵便投票を行うことになれば、開票作業の初日時点では直接投票の票が先に数えられてトランプ大統領が優勢と報じられる可能性が高まります。そして郵便投票は開票に時間がかかり、公式な開票結果は数日遅れになると予想されます。
米郵政公社には6月にトランプ氏に多額の献金を行ってきたルイス・デショイ氏が新総裁として就任しています。デショイ氏は就任後、業務改革によるコストダウンのためなら配送遅延も厭わないとする方針を打ち出していました。そのため郵便投票の配送が間に合わないとして、投票が無効化される可能性についてもFacebookは対応を検討しているとNew York Timesは述べています。ただ、デショイ氏は8月21日、、選挙が終わるまで撤回すると述べました。
Facebookでは先週「新たな脅威として、選挙結果に関する誤った情報の拡散に対し、選挙当局との会合を行った」とされます。また「投票プロセスに長い時間がかかれば、選挙結果に対する不信感が生まれ、それが悪用される可能性がある」と指摘したとのこと。
Facebookは選挙結果に関する情報をシェアする”Voting Information Center(投票情報センター)”ページを設け、そこで正確な(お墨付きの)情報を提供すると述べています。
ちなみに、このように大統領選挙に対する誤情報拡散などを防止すべく対応しているのはFacebookだけではなく、Google(YouTube)なども同様に選挙後の対応について検討を進めているとされます。またTwitterは「選挙前後で公共の会話に対する脅威をより適切に特定し、理解、緩和するための方針を強化している」と述べています。
2020年8月22日Engadget 日本版「Facebook、11月大統領選挙の結果へのトランプ氏からの干渉防止策を検討中」より転載