アメリカ・ネブラスカ州で、飲み薬を使って中絶したと見られる10代の女性と母親が、複数の罪に問われている。
この事件で逮捕の決め手になったのは、2人のFacebookメッセンジャーのやりとりだった。
Facebookの親会社Metaは、警察の捜査令状に応じて、2人のメッセージやインターネット検索などの個人情報を提供した。
警察に提出されたFacebookメッセンジャーのやりとり
ネブラスカ州では、妊婦の命が危機にさらされている場合を除き、妊娠20週以降の中絶は違法とされている(最高裁が「ロー対ウェイド判決」を覆した後も、ネブラスカでは中絶を全面的に禁じるトリガー法は導入されていない)。
マザーボードが入手した裁判文書によると、ノーフォーク警察は4月末、当時17歳だった女性が流産し、遺体を埋めたという内密情報を得た。
警察は、女性の診療記録を入手して妊娠23週目過ぎに当たることを確認。女性と母親を取り調べると、2人は死産だったと伝え、胎児を埋めた場所を明かしたという。
刑事は取り調べの中で、死産の夜に、女性がFacebookメッセンジャーを使って母親とやりとりをしたことに気付いた。
そして6月に、Meta/Facebookに対して捜査令状を発行し、2人のアカウント情報提出を求めた。
Metaが提出したデータには、飲む中絶薬について2人が話し合っていると見られるやりとりが残っていた。
<親子のやりとり>
娘:今日始める?
母:あなたがよければ、ホルモンを抑える薬を使いましょう
娘:OK
母:ホルモンを抑える薬を1錠飲んで、24時間待って2つ目を飲む
娘:OK
娘:証拠を焼却するのを忘れないで
マザーボードによると、Metaが提出したFacebookメッセンジャーのやりとりを根拠に2つ目の捜査令状が発行され、親子のパソコンやスマートフォンなどが押収された。
娘と母親は、死体遺棄や虚偽報告など複数の容疑を持たれている。また、娘は妊娠20週以降の中絶や無資格の中絶でも起訴されている。
飲む中絶薬は、安全で効果的に中絶する方法だとされている。プランド・ペアレントフッド(アメリカ家族計画連盟)は、飲む中絶薬を服用する場合は最後の生理の初日から11週まで、それ以降は病院での中絶を勧めている。
ロー対ウェイドが覆されるまで、アメリカのほとんどの州では、胎児が子宮外でも生存できるとされるおよそ24週以降の中絶を禁じていた。
アメリカでは自己管理による中絶は禁止されていないが、ネバダ州、サウスカロライナ州、オクラホマ州では自己管理の中絶を犯罪とみなす法律がある。しかし、こういった法律が法廷闘争に持ち込まれた場合、法廷で勝つ見込みは低いと指摘する法律の専門家もいる。
メタは今回の事件でユーザーのデータを警察に提供したことについて、声明を発表し「捜査令状は中絶について触れていなかった」と説明している。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。