法務省は12月27日、強盗殺人などの罪で死刑が確定していた河村啓三死刑囚と末森博也死刑囚の死刑を執行したと発表した。
現在の山下貴司法務大臣の元での死刑執行は初。
第2次安倍内閣が発足してから死刑が執行されたのは36人となった。
河村啓三死刑囚と末森博也死刑囚は1988年に投資顧問会社「コスモ・リサーチ」の実質的な経営者ら2人を殺害し、1億円を奪ったとして、強盗殺人や死体遺棄などの罪に問われ、2004年に死刑が確定していた。
河村啓三死刑囚は死刑が確定してから、「こんな僕でも生きてていいの」(2006、インパクト出版会)「落伍者」(2012、同)など出版活動を行なっていた。
■「コスモ・リサーチ」事件とは?
殺害されたコスモ・リサーチ社の経営者(当時43)と同社の男性社員(当時23)は、1988年1月末、大阪府で、「株の取引で必要になった」と知人に1億円を用意させた後、連絡を断ち、行方不明になっていた。
同年9月、別の事件で逮捕されていた元暴力団組長が犯行を認めたことから、捜査が進展。
同年10月、大阪府警は、京都府相楽郡南山城村の造成地の土中から、コンクリート詰めにされたコスモ・リサーチ社の2人の白骨死体を発見した。
別件で逮捕されていた河村死刑囚と末森死刑囚も共犯として、再逮捕された。
河村死刑囚と末森死刑囚らは株の売買で付き合いがあったコスモ・リサーチ社の資金力に目をつけ、一連の犯行を計画。
共謀して大阪市内のマンションに拉致。現金を用意するよう経営者を脅して別の社員に用意させた1億円を奪ったのち、2人の首を絞めて殺害。コンクリート詰めにして京都府内の山林に埋めた。
1億円は河村死刑囚と末森死刑囚が3500万円ずつ、元暴力団組長が3000万円で山分けにしたという。
コスモ・リサーチ社は当時、「仕手」と呼ばれる、投機目的で株の売買を行う企業として注目を集めており、亡くなった経営者は、金額の大きい売買を行うことから「30年に1度の相場師」とも呼ばれていた。