こちらもおすすめ>>消息を絶ったタイタニック号ツアーの潜水艇、著名な探検家も乗っていた
タイタニック号の見学ツアー中だった潜水艇「タイタン」が消息を絶ち、残骸の一部が引き上げられた事故で、潜水艇を所有・運営する米企業オーシャンゲート・エクスペディションズの元従業員が、潜水艇について「欠陥品」だと警告するメールを送っていたことが明らかになった。
ニューヨーカーによると、かつてオーシャンゲート社で働いていたデヴィッド・ロックリッジ氏は2018年、同僚に「どんなにお金を払っても、私はあれで潜らない」とメールで伝えていた。
ロックリッジ氏は、このメールを送る前に同社のストックトン・ラッシュCEOらにタイタンの設計上の欠陥を指摘した後、解雇されたという。
ロックリッジ氏のメールには「告げ口と思われたくないが、彼(ラッシュCEO)がエゴを満足させるために、自分自身や他の人々を殺してしまうのではないかと心配でなりません」とも書かれていたとされる。
「事故を待っているようなもの」メールで危険を伝える
オーシャンゲート社の潜水艇タイタンは6月、水深約3600メートルの海底に沈むタイタニック号まで潜るツアーの途中で消息がわからなくなった。
その後に残骸が見つかり、当局はタイタンが深海で圧壊してラッシュCEOを含む5人全員が死亡したと断定した。
CNNによると、ロクリッジ氏は2016〜2018年までオーシャンゲート社で働いていており、海洋作業部門のディレクターを解雇された後に会社と裁判を起こしていた。
ロクリッジ氏の2018年のメールは、当時の同僚で潜水艇の専門家ロブ・マッカラム氏に送られたものだ。
ロクリッジ氏はメールで「危険に向き合う時、私はかなり度胸のある方だと思っていますが、あの潜水艇は事故を待っているようなものです」とも書いていたという。
さらに、マッカラム氏が「あの潜水艇は潜るのに安全か、それともまったくの欠陥品だと思うか?」と尋ねると、ロクリッジ氏は「欠陥品」と答えたとされている。
タイタンの安全性の問題を指摘していたのはロクリッジ氏だけではない。同じ2018年には、38人の海洋技術専門家がタイタン号の設計とタイタニック号への潜水計画に対する「懸念の一致」を表明する手紙をラッシュ氏に送っている。
タイタンは6月18日朝にカナダの研究船ポーラー・プリンスを出発し、約1時間45分後に連絡が途絶えた。
同潜水艇にはラッシュCEOの他、イギリスの探検家で実業家のハミッシュ・ハーディング氏、フランスの探検家ポール=アンリ・ナジョレ氏、パキスタンの実業家シャーザダ・ダウード氏と息子のスールマンさんが乗っていた。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。