10代が意見を言うと、正面から受けとってもらえないのだろうかーー。そう考えさせられる出来事がありました。
2019年9月、スウェーデンの16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが、ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットに出席し、地球温暖化に本気で取り組んでいない大人たちに意見をしました。
グレタさんの演説は世界中から注目されたのですが、ネット上では「利用されていてかわいそう」「学校に行った方がいい」などと言われ、アメリカのテレビ番組では「精神的に病んでいる」などと中傷まで受けました。
グレタさんはこういった大人たちの態度に、こう問い返しました。
「なぜ大人たちは10代の若者や子どもたちをあざ笑い、脅すのに時間を使うのかーー」
■大人が言う「子どもらしさ」は…
子どもが意見を言うと、意見の内容とは関係がない部分まで攻撃されることがある。このことを日本で体験し続けてきたのが声優・俳優の春名風花さん(18)です。
0歳から芸能界で仕事を始めた春名さんは、9歳でTwitterを始めました。ユーザー名は @harukazechan(はるかぜちゃん)。苗字の一文字の「春」と、名前の「風」を組み合わせています。
現在、フォロワーは約20万人。春名さんのTwitterが注目されるようになったのは、2010年12月の投稿がきっかけでした。東京都で、18歳未満に対し過激な表現を含む漫画の販売を規制する改正条例が成立したことについて、自身の意見をつぶやいたのです。春名さんは9歳でした。
もしぼくたち子どもから、いっさいの汚いものや怖いものを隠してしまうと、ぼくたちは本当に人を傷つけないとわからなかったり、傷つけてしまってもその大きさがわからなかったりする大人になるかもしれないと思う。
ぼくたちはいいまんがも、悪いまんがも、ちゃんと自分でえらべます(ω)
都条例ぷんすか(ω)
この投稿が話題となり、フォロワーが一気に増えた一方で、春名さんへの心無い攻撃が始まったといいます。
「子どもらしくない」「公園で遊べ」「大人が代筆しているんじゃないか?」「自分の意思なんか持ってない」…。そういった反応に春名さんが反論すると、「死ね」という言葉も出てくるようになりました。
春名さんは、「子どもらしくない」と言われることについて、2014年出版の自著でこうつづっています。
ツイッターを好きになったのは、大人にとっての理想の子どもじゃない、自分らしい素直な気持ちを書ける場所だったから。
自由に表現することを楽しみ始めたぼくは、「子どもらしくない」と叩かれるようになったけれど、それは違う!
本物の自分らしさを、手に入れようとしただけなんだよ。
(春名風花著「ー心ない言葉に傷ついた君へー 少女と傷とあっためミルク」から)
この本の中で春名さんは、「大人が言う『子どもらしさ』は、たいてい『幼稚で未熟なこと』を指している」とも指摘しています。
また、ネットでの中傷にさらされてきた春名さんは2012年8月、「いじめ加害者」に向けた言葉を朝日新聞で発表しました。
いじめゲームをしている君へ。
あのね。キモい死ねと連日ネットで言われるぼくが生まれた日、パパとママはうれしくて、命にかえても守りたいと思って、ぼくがかわいくて、すごく泣いたらしいですよ。この子に出会うために生きてきたんだって思えるくらい幸せだったんだって。(2012年8月17日朝日新聞朝刊「いじめている君へ 『君、想像したことある?』 タレント・春名風花さん」から)
春名さんの言葉は大きな話題となり、書籍化もされました。
2019年3月、春名さんは、自身が歩んできたように、インターネットで意見を発信したいと考えている未成年に対してのメッセージをブログにつづりました。
経験を踏まえ、未成年が年齢を公開して意見を言うことの大変さを切々と書きながらも、「鋭く対等に正々堂々」と意見を交わして欲しいと伝えました。
今も春名さんは、自分の思いや考えを発信し、時には意見が異なる人たちとの対話も続けています。
■10代と一緒に考えます!
ハフポスト日本版では、春名さんをゲストに招き、「10代が社会について考え、意見を言うこと」について考えるイベントを開くことにしました。
もう1人のゲストは今井紀明さんです。今井さんは認定NPO法人の理事長で、「ひとりひとりの若者が自分の未来に希望がもてる社会」を目指して活動をしている方です。
ゲストのお二人のお話を聞き、一緒に考えるのは10代のみなさんです。
校則にモヤっとするんだけど、なんて言えばいいのかわからないーー。
ニュースについて意見を言う同級生を「意識高い系」って感じちゃうから、自分も意見は言いにくいーー。
「社会に出たこともないくせに」などと言われちゃうんじゃないかーー。
意見を言うことへの「とまどい」や、気になってしまう周りの目、大人たちの目線などについて考えてみます。
今を生きる10代が少しでも生きやすく、その意見が1人の個人として尊重され、社会に反映されるように…。ハフポスト日本版はみなさんと考えていきたいです。
<イベント概要>
【タイトル】「10代が意見を言ったらダメですか?」
【日時】 2019年11月23日(土・祝)正午〜午後2時(開場午前11時30分)
【場所】GOBLIN.代官山店(東京都渋谷区恵比寿西1-33-18 コート代官山B1F)
【参加費】無料
【参加要件】15歳(高校生以上)〜20歳未満
【定員】 約40人
【ゲスト】 春名風花さん(声優・俳優)、今井紀明さん(認定NPO法人D×P理事長)
【総合司会】竹下隆一郎(ハフポスト日本版編集長)
【特別サポート】徐東輝さん(弁護士)
【主催】ハフポスト日本版
【申し込み締め切り】2019年11月18日(月)
<注意事項>
・応募者が多い場合は抽選をさせていただきます。抽選結果は11月20日(水)までにメールにてご連絡させて頂きます。なお、応募フォームでメールアドレスの打ち間違いをされていたり、迷惑メール設定をされていたりすると抽選結果が届かない場合がございます。ご注意ください。
・イベントにご参加頂く場合は、保護者の同意を得てください。イベントに参加された場合、保護者の同意を得たものとみなします。イベントでは写真・映像撮影を行い、後日ハフポスト日本版の記事等で利用する場合がございますので、保護者の同意のもと、ご参加ください。写真・映像の利用を望まれない方は事前に事務局までご連絡ください。事務局メールアドレス:event@huffpost.jp
・引率者に限り20歳以上の方の同伴は可能です。引率者は、1グループお1人までとさせて下さい。引率者の方にはお席を準備できない可能性がございますので、予めご了承下さい。
■アンケートにご協力下さい
イベントに関連し、「10代が社会について考え、意見を言うこと」についてのアンケートを実施します。イベント参加希望の方以外もぜひご協力下さい。年齢制限はありませんので、20歳以上の方もご意見をお寄せいただければ幸いです。
【UPDATE 2019/11/20】アンケートの募集は終了致しました。ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。アンケート結果は後日記事でご紹介する予定です。
■ゲストのご紹介
春名風花(はるな・ふうか)さん/声優・俳優
2001年生まれ。主な声の出演作は、映画「みつばちマーヤの大冒険」(マーヤ/主人公)、「パシフィック・リム:アップライジング」 (レナータ)、「おおかみこどもの雨と雪」(荘子)。このほか、テレビ、舞台作品にも多数出演している。
2019年12月13~19日には、舞台「月刊『根本宗子』第17号『今、出来る、精一杯。』」(新国立劇場) に出演する。
約20万人のフォロワーを擁するTwitterでの発言にも注目が集まっている。
今井紀明(いまい・のりあき)さん/認定NPO法人D×P(ディーピー)理事長
1985年生まれ。立命館アジア太平洋大学(APU)卒。高校生の時、イラクの子どもたちのために医療支援NGOを設立。活動のために、当時、紛争地域だったイラクへ渡航。その際、現地の武装勢力に人質として拘束される。帰国後、「自己責任」の言葉のもと、日本社会から大きなバッシングを受ける。結果、対人恐怖症になるも、大学進学後、友人らに支えられ復帰。
偶然、通信制高校の生徒が抱える課題を知り、親や先生から否定された経験を持つ生徒たちと自身のバッシングされた経験が重なる。大阪の専門商社勤務を経て、2012年にNPO法人D×Pを設立。「ひとりひとりの若者が自分の未来に希望がもてる社会」を目指して活動している。生きづらさを抱えた若者に、「つながる場」と「いきるシゴト」を届け、セーフティーネットをつくっている。