「こうやって世界を見たらどうだろう」
ハフポスト日本版は普段ニュースを発信しながら、読者と会話をしています。ただ、少し気になっているのはニュースの賞味期限が早いこと。政治も社会も文化も、目まぐるしく変わるため、忘れ去られてしまう話題も少なくありません。そこで、世の中の出来事を追いかけるだけでなく、「こうやって世界を見たら良いのではないか」という「視点」をじっくりと身につけるための場を読者と一緒につくってみたいと思いました。
イベントは7月30日午後7時、東京・六本木で開きます。読者は30人、ゲストは2人の専門家。お酒を飲みながら、2人の話をじっくり聞き、みんなで語り合います。
1人目のゲストは、東日本大震災後の「復興」に関わっている、地域活動家の小松理虔さん。2人目は、小川さやかさん。東アフリカのタンザニアで、街を歩きながらモノを売る行商人たちのビジネスや生活を研究してきました。
お二人の話を通して手に入れるのは「『よそ者』から学ぶ」という視点です。
小松さんは「誰だって復興に関わって良い」とおっしゃいます。たとえば、福島のお酒や美味しい魚を食べにふらりとやって来た観光客。震災を経験していなくても、福島の食を楽しむことで接点が生まれ、地元の人たちとの交流を通じて新しいアイデアを持ち込んでくれるかもしれない。その意味で「当事者ではない人」なんていない。「震災復興」のような真面目な課題にこそ、「よそ者」も巻き込んだほうがいいなのかもしれない。
「いまを楽しく生きる余裕が日本にはないのではないか」。そう問題提起をするのは、小川さんです。世界の途上国では、会社に雇われる人が少なく、日雇い労働や自分の商売をして1日1日を過ごしている人が多いらしい。小川さんもタンザニアで暮らしてみて、50枚以上の古着を抱えて売り歩いたそうです。 良い意味での「その日暮らし」とは何か。
「よそ者」の意見に耳を傾けたり、交流をしたりすることで、人生はどんな風に変わるのかを考えたいと思います。
大人だけでなく、大学生も参加してください。大学生の参加費は無料、その分を大人が負担します。仕事に追われる大人たちも、授業やサークルが忙しく、いつの間にか就職活動に突入してしまう大学生も、ゆっくりと考える時間は取れないという意味では、いっしょかも。細かい知識や役立つ情報とはちょっと違った「視点」を手に入れることがゴールです。
協力はサントリーホールディングス。今年創立40周年を迎えたサントリー文化財団を通して、同グループは様々な独創的な研究者を輩出し、日本の言論を支えてきました。ネット時代にふさしい「教養の場」って何だろう。同財団の知恵も生かしながら、チャレンジをします。さらに、人気ビジネス書「仕事と人生がうまく回り出すアンテナ力」(三笠書房)の筆者で若者とのイベントを手がけてきたコンセプター / プロジェクトプロデューサーの吉田将英さんに頼み、ワークショップも開きます。
<イベント概要>
【日時】 2019年7月30日(火) 19:00-21:00 交流会 21:00-21:45
【場所】SENQ六本木 9階
(〒106-0032 東京都港区六本木7-15-7 新六本木ビル9F)
【参加費】社会人:税込3,000円 学生:無料
軽食と飲み物(アルコール、ソフトドリンク等)付き
【参加者要件】社会人、20歳以上の学生
【お申し込みURL】https://forms.gle/G6EToDics8qwT4US9
【申し込み締め切り】2019年7月22日(月)
【定員】 社会人:15人 学生:15人
【ゲスト】 小川さやかさん(文化人類学者)・小松理虔さん(地域活動家)※五十音順
【主催】ハフポスト日本版
【協力】サントリーホールディングス株式会社・サントリー文化財団
【総合司会】竹下隆一郎(ハフポスト日本版編集長)
【ファシリテーター】吉田将英さん(コンセプター / プロジェクトプロデューサー)
足もとさえ「見えていなかった」
ハフポストは、ニュースを伝えるだけでなく、読者同士の会話が生まれるような「視点」も提供できるメディアになりたいと考えています。
さて、もう少しだけお話しさせてください。
たとえば先日、「職場で、女性にヒールやパンプスを履くことを強制する風習をなくしたい」という声がネットで盛りあがり、これに賛同する2万近い署名が厚生労働省に提出されました。私たちも大事な問題としてニュースにして、多くの議論を呼び起こしました。
こうした靴は、人によっては外反母趾になったり、巻き爪になったりして健康上よくありません。就活をしている大学生からも「痛くてつらい」という声があがります。私も含めて世の中の多くの男性はこの問題に「初めて気づく」きっかけとなりました。
社会人を10年も20年もやっていて、職場にいる女性の悩みさえ知らなかった。きっとヒールやパンプスの苦しさ以外にも、知られていない視点がたくさんある。文字通りこうした「足もと」のことも分からず、私たちは暮らしています。ニュースを広くとらえられる「視点」をお伝えして、会話のきっかけとなるようなメディアを目指したいと思います。
「教養」を身につけ、最後は世間と戦う
小松さんの復興の話や小川さんのタンザニアの話は、社会人の毎日の仕事や学生の就活に、直接的には役立つことはないかもしれませんが、きっと長い人生で効いてくる視点を手に入れることができ、ある意味「教養」が身につくはずだと信じています。
教養という言葉には、小難しい、偉そうな響きがあります。哲学やクラシック音楽に詳しく、英語やフランス語をすらすらと口にするような人が「教養人」というイメージでしょうか。一方、大学の「パンキョー」はラクをして単位をとる授業という意味しかない印象です。教養は本来、もっと違うもの。人生で気づかなかった「死角」をなくして視野が少し広くなるだけで、生きやすくなったり、他人の痛みに気づいたりする。
そうやって視界が開けたときに、自分はどう動くべきか。他人のために何ができるのか。世間とどう戦うのか。そこまで考える。小松さんや小川さんの話から、あるいはたまたま横に座った大人や若者から、そんなアクションを踏み出すきっかけがうまれるイベントにしていけたらな、と思います。
お申し込みURLはこちら→https://forms.gle/G6EToDics8qwT4US9
ゲストのおふたり、どんな人?
小川さやかさん
1978年愛知県生まれ。専門は文化人類学、アフリカ研究。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程指導認定退学。博士(地域研究)。日本学術振興会特別研究員、国立民族学博物館研究戦略センター機関研究員、同センター助教授、立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授を経て、現在、同研究科教授。著書『都市を生き抜くための狡知-タンザニアの零細商人マチンガの民族誌』(世界思想社)で、11年サントリー学芸賞(社会・風俗部門)受賞。『「その日暮らし」の人類学―もう一つの資本主義経済』(光文社新書)、『チョンキンマンションのボスは知っている―アングラ経済の人類学』(文藝春秋)など。
小松理虔さん
1979年いわき市小名浜生まれ。ローカルアクティビスト。いわき市小名浜でオルタナティブスペース「UDOK.」を主宰しつつ、いわき海洋調べ隊「うみラボ」では、有志とともに定期的に福島第一原発沖の海洋調査を開催。そのほか、フリーランスの立場で地域の食や医療、福祉など、さまざまな分野の企画や情報発信に携わる。著書に『新復興論』(ゲンロン叢書)、共著書に『常磐線中心主義 ジョーバンセントリズム』(河出書房新社)、『ローカルメディアの仕事術』(学芸出版社)ほか。
(プロフィールは五十音順)
<注意事項>
・応募者が多い場合は抽選をさせていただきます。抽選結果は7月24日(水)までにメールにてご連絡させて頂きます。なお、応募フォームでメールアドレスの打ち間違いをされていたり、迷惑メール設定をされていると抽選結果が届かない場合がございます。ご注意ください。
・お酒の提供が含まれるイベントになりますので、未成年の方の参加及びご同席は不可となります。ただし、飲酒は必須ではございません。また、小さなお子様(乳幼児含む)をお連れの方はご参加いただけません。
・当日お車・バイク(同乗者含む)・自転車を運転される方は飲酒はできません。
・妊娠中や授乳期の飲酒はやめましょう。
・イベント後の交流会のご参加は任意です。