近年、徐々に普及が進んでいるEV(電気自動車)。
政府の「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」という表明や、世界的な「ゼロ・エミッション」などの社会の風向きもあり、近年は集合住宅でもEVの導入を可能とするための取り組みやサービスが多く発足している。
2023年1月、日産自動車(株)は積水ハウス(株)とともに、住環境とEVのより良い関係性を目指して「+e PROJECT(プラスイープロジェクト)」を発足。また、同社は同年11月に、住環境とEVのより良い関係性を探る調査を実施した。調査結果から見えてきた、EVと住環境の「今」とは?
調査実施期間:2023年11月10日~2023年11月15日
調査対象:(事前調査)2万3642人、 (本調査) EV購入検討者(保有者含)及び集合住宅にお住いの30~50代男女400人
高まるEV購入意向。買えない理由1位は価格ではなく...
まず調査が明らかにしたのは、EVの購入を検討している人が増えつつある傾向と、その一方で充電設備の充実度(充電インフラ)が購入におけるボトルネックになっている現状だ。
EVを保有したいと考える人の約半数が3年以内の購入を検討していた一方で、購入する上で迷うポイントや購入に至らない理由としては「自宅に充電設備がないこと(56.3%)」が最も多い結果となった。
また「現在お住まいの集合住宅にEVの充電ができる駐車場はありますか?」という質問では75.5%が「ない」と回答。「EV充電環境が自宅にないことは不便だと感じますか?」という質問では81.8%が「とても不便だと感じる」「まあまあ不便だと感じる」と回答し、そのニーズが大きいことが鮮明になった。
充電インフラが、集合住宅の価値に影響する
充電インフラの充実度は、EVを保有したいと考える人が住居選びをする際にも大きなポイントとなってくるようだ。
「EV充電器が設置されることで今後の集合住宅の価値の向上・維持に影響があると思いますか?」という質問では7割が「影響があると思う」と回答し、「将来の価値を考えEV充電器が設置されている住まいが良いと思いますか?」という質問では、77.3%が「良いと思う」と回答した。
こうした「充電インフラ」への注目もあり、東京都では2025年から新築集合住宅等の新築建築物でEV充電設備が義務化される。しかし、このことについて知っていると回答した人の割合は全体の25%以下だった。さらに「集合住宅にEV充電器を設置する方法を詳しく知っていますか?」という質問では「知っている」という回答は17.8%に留まった。
これらのことから、EVの購入を検討している人の多くがEV充電器のある住居を求めているが、一方でEVインフラを整えるための積極的な情報収集やアクションには踏み出せていない現状がうかがえる。
今後、よりEVがより暮らしに身近になるには、政府や企業がEVインフラの認知を向上することも求められそうだ。