アメリカのエリン・ジャクソン選手が、黒人女性として初めて、冬季オリンピックのスピードスケートで金メダルに輝いた。
ジャクソン選手は、2月13日に開催された北京オリンピック・スピードスケート女子500メートルで、37.04のタイムで1位になった。
黒人の女性選手が、スピードスケートの個人種目でメダルを手にするのも、ジャクソン選手が初めて。
団体では、カナダのカリナ・ロベルジュ選手が、ショートトラック女子3000メートルリレーで、2006年と2010年に銀メダルに輝いている。
AP通信によると、ジャクソン選手は「(今日の結果が)影響をもたらして欲しい」「特にアメリカで、もっとマイノリティの人たちが冬のスポーツに挑戦するきっかけになって欲しい」と述べた。
幼なじみとわけ合った喜び
ジャクソン選手は、2021年11月に開催されたスピードスケートのワールドカップで黒人女子選手として初めて1位になるなど、今シーズンの女子500メートルでは8戦中4勝をあげ、今大会の金メダル有力候補と言われていた。
ところが、アメリカの選考会ではスリップして3位になり、オリンピック代表漏れした。
しかし、すでに1000メートルと1500メートルでも出場が決まっていたブリタニー・ボウ選手が、子どもの頃からの友人でもあるジャクソン選手に、500メートルの代表枠を譲ると決めた。
ボウ選手は、ワールドカップで1位になったジャクソン選手にはオリンピックに出場する資格があると強調。
「これはチームのためです。エリンにはメダルを取る可能性があります。できれば金メダルを。彼女にチャンスをあげられてとても光栄です。これは彼女が自分で手にしたものであり、受けるに値する」と述べた。
予期せぬ形で代表に決まったジャクソン選手は「彼女は私のために、大きな犠牲を払ってくれました」「永遠に、感謝します」と、謝意を伝えている。
さらに、この数週間後に再分配でアメリカに出場枠がもう1枠与えられ、ボウ選手も500メートルの出場が決まった。
そして13日の試合で、ジャクソン選手はボウ選手の言葉を実現するかのように、金メダルに輝いた。
最後の選手が滑走を終えて自身の1位が決まった後、ジャクソン選手は顔を抑えて涙を流した。
CNNによると、ジャクソン選手は涙の理由を「感情がたかぶって、すぐに涙が出てきました。大きなショックと安心、そして幸せ。そのすべてをまだ整理できていませんが、ただもう嬉しい」と語った。
一方、この種目で16位だったボウ選手は、「どれだけ誇らしいか言葉では表せません」「彼女が特別な何かをするだろうとわかっていました。そして彼女は世界に、自分はここにふさわしいということを示してみせたのです」と述べている。
この競技では高木美帆選手が37.12で銀メダル、アンゲリナ・ゴリコワ選手(ROC)が37.21で銅メダルになった。