アスリートに支払われる報酬を、男女平等にするよう求める法案が、アメリカ・カリフォルニア州で提出された。
通称「Equal Pay for Equal Play(同じ競技に同じ支払いを)」と呼ばれるこの法案は、男女でもらえる賞金の格差をなくすことで、ジェンダーギャップを縮小する目的があるとみられる。
アメリカの女性スポーツ基金でシニアディレクターを務めるサラ・アクセルソン氏によると、スポーツ報酬の平等を求める法案は、アメリカではカリフォルニア州が初めて。
可決された場合、カリフォルニア州は同州で開かれるスポーツ競技の主催団体に対し、男女のアスリートに同等の支払いをするよう求めることができる。拒否した場合、州はイベントの許可や名義貸しを拒否できるという。
法案を提出した、カリフォルニア州のターシャ・ボエナー・ホルバート議員は、法案についてこう語った。
「2019年にもなって、私は娘や息子や全ての子供たちに、女性と男性が不平等に扱われている状況を見て育って欲しくありません」
「法案は、カリフォルニア州が何を大切にしているのかを伝えます。州が大切にしている価値観を法律に反映し、変化を起こすまたとない機会です」
同じく提出に関わったロレーナ・ゴンザレス議員も「この法案は、働く場がどうあるべきか、もしくは平等とは何かを、全く新しいレベルで考えるよう求めます」と話す。
法案が提出されるきっかけになったのは、カリフォルニア州の人気サーフィン大会「タイタンズ・オブ・マーヴェリックス」で、男女平等を求めて闘ってきた女性サーファーや活動家たちだ。
1999年に始まった同大会は約20年間、男性サーファーしか参加できなかった。
しかし、女性サーファーの平等を求める「女性サーフィンの平等委員会(CEWS)」が女性の参加を認めるように働きかけた結果、2016年大会から女性サーファーも参加できるようになった。
CEWSは参加だけではなく、賞金の平等化にも熱心に取り組んできた。
2018年には世界のプロサーフィンツアーを運営する「ワールド・サーフ・リーグ(WSL)」に、男性サーファーと女性サーファーの賞金を同じにするよう求めた。
その結果、WSLは2018年10月に、同団体が開催する世界中の大会で男女平等の支払いをすると発表した。
今回提出された法案は、サーフィンだけでなく、水泳やマラソン、トライアスロンなど、様々な競技に広がる可能性がある。
カリフォルニア出身のテニス選手で、長年男女格差をなくす活動を続けるビリー・ジーン・キング氏も、「私の故郷が、道を切り開いている」と喜びのコメントをツイートした。
その一方で、CEWSの委員長・サブリナ・ブレナン氏は、まだ女性が参加できない競技も多く、性別に関係なく誰もが参加できるよう変えていかなければいけないと訴える。
「もし競技に参加できなければ、平等な報酬を受け取ることはできません」