都内など首都圏の小学校では、高学年になってくると、クラスの中でも「受験をする子、しない子」にはっきりと分かれてきます。
受験をする子はほぼ毎日のように塾通い、受験をしない子は宿題を済ませたら後は遊びまくり、なんてことも。最近は、受験をしなくても塾に通うケースは多いようですが...... 公立小学校や地域によってもばらつきはありますが、都内ではクラスのほぼ半数が受験するところもあると言われています。
そんな中、「受験しない」を選択する理由はさまざま。今回は、都内の公立小・中学校にお子さんを通わせる「受験をしないことにした」ご家庭に、その理由や背景を聞いてみました。
中学受験は金銭的に厳しい
〔Yさん/子ども13歳、7歳、5歳〕
中学受験なんて、はなっから頭にありませんでした。先輩ママに聞いたら、塾通いにも莫大なお金がかかるし(塾選びにもよりますが)、私立しか受からなかったら学費も目が飛び出るほど高い。子どもが3人もいるので、1人にそんなにお金をかけていられないし...... 申し訳ないと思いつつ、高校は都立、大学も国立で行ってくれたら、と思っています。自分もそうだったので。
〔Oさん/子ども14歳〕
シングルマザーです。元夫から養育費はもらっているものの、それプラス私の稼ぎでは、中学受験は乗り越えられないな、と思ったし、子どももそれを察したのか、小学校4年生くらいから「私は○○ちゃん(友達)と○○中(地元の公立中学)に行くからねー」と言っていました。そんな娘も今は中2、テニス部に入って、公立中学校ライフを満喫しています。
中学受験を検討する上で、やはり気になるのはお金のこと。受験前の塾代、受験費用、学費...... さまざまなことを考慮した上で判断する必要がありそうです。
子どもの性格や生活スタイルが中学受験が合わなかった
〔Sさん/子ども14歳、10歳〕
私自身が小学校から私立で、高校までエスカレーター式だったので、のびのび楽しい学生時代を過ごせたこともあり、私立か中高一貫の都立を受験してほしかったのですが...... 息子はとてものんびりな性格。競争ごとも嫌いで、何かに負けても「まあ、いっか」と諦めてしまって「なにくそー!」と頑張る根性がない。仲がいい子も受験をしないこともあり、本人も1ミリも受験する気なさそうだし、「こりゃ性格的に中学受験には向かないなー」と思ってやめたんです。息子は現在中2ですが、さすがに高校受験は全員するので、その波にいい具合に飲まれつつあります(笑) そして小5の娘は「お兄ちゃんと同じ中学に行く」と言っているので、受験は「なし」かなー......
〔Iさん/子ども13歳〕
娘は小3から受験を意識して(というか、私が意識させてしまったところも大きい)、塾に通っていました。しかし、小5からバリバリの「難関受験コース」に入り、疲れて息切れしてしまったようで、「塾を変えたい」と言ってきたので、少しゆるめの個別塾に通わせました。ゆるいとはいえ、宿題や課題が多く、放課後は友達とも遊べず、毎晩遅くまで机に向かっていました。そしてある日、ポツリと「ママ、受験やめてもいい? やっぱり今は友達と遊びたい」と...... 親子で涙ながらに話し合い、高校受験頑張ろうね、と約束して、中学受験はやめました。塾に通わせる時期が少し早すぎたのかもしれません......
子どもだって、頑張り屋もいれば、負けず嫌い、のんびり屋さん、性格は千差万別。そして、やっぱり小学生はまだまだ友達と遊びたいもの。それが自分の中で最優先の時期なのでしょうね。子どもの性格やライフスタイルをしっかり知ることも、「受験をするか、しないか」を決めるためには大切なことなのです。
公立中学校が魅力的だった
〔Yさん/子ども14歳、9歳〕
子どもは小5から、特に受験を意識せずなんとなく塾に通っていました。受験をするかしないか悩んでいたのは私(笑) 受験するほうに傾きかけ、都立・私立含め、何校か情報もチェックしたり、学校見学にも行っていました。そんなとき、学区の公立中学校の学校見学会があったんです。校舎も開放的なつくりできれいだし、すれ違う生徒たちがきちんと挨拶してくれたり雰囲気も良かったし、何より説明をしてくれた校長先生の人柄がとてもよかった。同じ時期に、中学校体験をした息子も「○○中(学区の公立中学)とてもよかったよ!」と言っていたので、親子で意見が一致。受験はせずに、学区の公立中学に行くことに決めました。
〔Tさん/子ども13歳、11歳、3歳〕
息子は小2から陸上をやっていたので、とにかく陸上ができる中学に行きたかったようです。ところが、近隣の公立中学には軒並み陸上部がない。これはもう陸上部のある中学を受験するしかないねと、小5から受験コースに通い始めました。小6に上がった年に、なんと学区の公立中学に陸上部ができたんです。受験を意識すると、親子で悶々としたり、ときにイライラしてしまったりすので、これでもう悩まなくて済む! とばかりに受験をやめ、学区の公立中学に決めました。かなり単純な理由ですみません......
公立中学校でも、これから入学する小学校高学年の親向けに、事前見学会や説明会、給食試食会などを行っています。受験する、しないを決めていても、いなくても、自分の目で確かめることは大切です。実は、学区の公立中学校が一番お子さんに合っている可能性も大きいかもしれません。
パパとママで意見が分かれた
〔Kさん/子ども13歳、10歳〕
私自身が中学から中高一貫の私立だったこともあり、高校受験もないし、大学受験はあるものの、6年間とてものびのびと楽しかったので、娘にもそうあってほしいと思っていましたが、ともかく主人が大反対! 小・中・高すべて公立だった主人は、「中学受験なんて、お金もかかるし、子どもというよりほとんど親が決めるもんだろう。だったら必要ない」という意見(こう書くと過激......) 何度か言い合いにはなりましたが、子どもが聞いているし、夫婦対立したまま受験なんてしても、なんのメリットもないと考え直し、諦めました。子どもは、仲のよい子たちと同じ公立中学校に行けてよかったみたいです。
〔Hさん/子ども13歳〕
住んでいるのが私の地元で、私自身がそこの学区の公立中学校出身。とてもいい中学校で、先生はすっかり変わってしまったものの、雰囲気も校風もそのまま。主人は自身が男子校だったこともあって、かなり受験させたかったようです。でも、小学校で受験戦争はまだ早いという意見の私と、子どもが一緒になって「学区の公立中学校がいいよ」とゴリ押ししたので、最終的に折れました。
夫婦で意見がそろわないと、中学受験はなかなか厳しいようです。パパとママ、両方の応援があってこそのもの。そろわなくても、上手な説得したり、歩み寄ったりしたいものですね。
中学受験をする理由もさまざまであれば、しない理由もさまざまですね。高校受験と違って、中学受験は全員するものではなく、「しない」という選択肢があって当然なのです。
確かに、中学受験は親の関わりがとても大きく、「親が決めること」と言っても過言ではありません。でも、最後に決めるのはやっぱり子ども自身であるべきだと思うんです。
子どもがハッピーで楽しい中学生活を送れるよう、中学受験「する理由」「しない理由」をしっかり話し合い、見極めてあげたいですね。
【ライター 田崎 美穂子】
元大学出版会編集者、大学生向けのテキスト編集を担当。小学校5年、3年、1歳児の母。ママ友ネットワークを駆使した共感できる記事を執筆。
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