日本中、そして世界中に衝撃を与えた「あの日」から4年が過ぎました。世界史的にも最悪級の未曾有の原発災害となった東京電力福島第一原発事故から4年目の「今」を俯瞰して、地域からのエネルギー変革を提案します。
■世界的なエネルギー変革期と3.11
3.11福島第一原発事故が日本を襲ったのは、国内的には、自然エネルギーを封じ込め、原発のさらなる拡大へと暴走していた真っ只中であると同時に、世界史的には「人類史第4の革命」と呼ばれる自然エネルギーの加速度的な隆盛の真っ只中でした。
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その意味で、3.11福島第一原発事故という「大きな不幸」の中でも、日本には「三つのささやかな幸い」がありました。省エネ・節電の成功、FIT(固定価格買い取り制度)の成立、そして「原発神話」からの脱却です。
■再び逆走する日本
逆走していた原発・エネルギー政策を根底から見直しはじめていた日本ですが、2012年の安倍自民党政権が誕生して以来、再び原発復権へと逆走を始めました。安全性の重要な確認に目をつむって原発再稼動を推し進め、電力自由化を見据えて「原発版固定価格買取制度」(CfD)の導入や原発事故損害賠償の責任を軽減しようとし、地球温暖化防止の国際公約を原発復権の「口実」として利用しようとするなど、乱暴ともいえる手続きで原発復権への道筋が付けられようとしています。
その返す刀で、再生可能エネルギーに対しては、無制限・無保証の出力抑制を認める制度「改悪」により、事実上の「上限」を導入しています。
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こうした不合理な動きは「ラッダイド運動」や「安政の大獄」と同じく、大転換の時代に守旧な勢力が強い抵抗を示す歴史の必然かもしれません。しかしその結果、今日の日本の原発・エネルギー政策は矛盾が噴出し、混沌とした現実が取り散らかった状況にあり、4年前のあの日に「未曾有の国難」に直面した国の態度とは思えません。
■地域自立・分散エネルギー革命の時代へ
世界的には、デンマークの風力協同組合やドイツで急増するエネルギー協同組合などに象徴されるように、大規模集中・独占型から小規模分散・地域主導型のエネルギーへの体制転換も起きつつあります。
そのため、たとえばドイツ最大の電力会社エーオンは、自社を自然エネルギー部門と原発・化石部門に分社化し、後者を売却する意向を示しているほどです。
日本でも、3.11福島原発事故で衝撃を受け、エネルギーと地域自立との関心を深めてきた日本中の地域で、会津電力(喜多方市)、ほうとくエネルギー(小田原市)、しずおか未来エネルギー(静岡市)、宝塚すみれ発電(宝塚市)など、続々と「ご当地電力」が立ち上がってきています。
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地域でエネルギーを自ら生み出すことは、地域を豊かにします。例えば、福島県194万人・72万世帯で2000億円強の光熱費を使っており、これを地域内循環に変えるだけで、およそ地域GDPの5〜20%ほどの経済効果が試算されています。しかも経済効果に留まらず、参加と実践が生む社会的エンパワーメントと政治参加感、そして希望を生み出すことができます。
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■「変革は周縁から起きる」
エネルギー政策は、長い間「国の専管事項」でしたが、もはやその多くを地域に委ねる時と考えます。地域が自らの地域の豊かさと地域の自立を求めることは、地域のもっとも大切な権利であるからです。
日本でも始まった「周縁からの変革」。私ども環境エネルギー政策研究所(ISEP)では、国内外の経験豊富なネットワークを活かして、その動きを全面的にサポートします。
【参考】
Energy Democracy <http://www.energy-democracy.jp> は、左右でもなく市場原理主義でも市場否定でもない「プログレッシブ」を場のエートスとする、創造的で未来志向の言論を積み重ね、新しい時代・新しい社会の知的コモンセンスを積み上げていくメディアです。
人・モノ・カネ・情報のグローバル化や、社会や組織、家族や個人のあり方や思考、価値観など「変化してゆく社会」のなかで、中央集中型から地域分散型へとエネルギーと社会のあり方がパラダイム的に変化する意味を考え、議論し、理解を深め、未来に進んでいくための手がかりとなる論考を、自然エネルギーがもたらす変革を中心に、気候変動対策、原子力政策、電力システム改革、エネルギー効率化など環境エネルギー政策に関する論考など環境・エネルギー・コミュニティを軸に、経済・社会・政治など多角的な視点から、環境エネルギー政策研究所(ISEP)による編集のもと、国内外のプログレッシブジャーナルとも連携しつつ、厳選された国内外の専門家や実務家、ジャーナリストが寄稿します。