スペースXとテスラCEOのイーロン・マスク氏が、親ロシア派のチェチェン共和国首長とネット上で応酬を繰り広げている。
事の発端は、マスク氏がウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領に、決闘を持ちかけたことだ。
衛星インターネットサービス「スターリンク」の機材を届けるなど、ウクライナを支援してきたマスク氏は3月14日、Twitterでプーチン大統領にウクライナを懸けた決闘を申し込み、「この戦いに同意するか」と呼びかけた。
これに反応したのが、プーチン氏本人ではなく、同氏に忠誠を誓うチェチェン共和国首長、ラムザン・カディロフ氏だった。
イーロン・マスク氏のツイート:「チェチェン共和国のトップ、ラムザン・カディロフ氏のテレグラム投稿だ!」
この英訳によると、カディロフ氏はマスク氏に「プーチン大統領と戦わないことをお勧めする」とアドバイス。
マスク氏を「ビジネスマンで単なるTwitterユーザー」と呼ぶ一方で、プーチン氏を「世界を代表する政治家で戦略化、西側諸国とアメリカを恐れさせる存在だ」と称賛した。
そして「君のような弱い相手を倒したら、ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ(編注:プーチン大統領の名前)はスポーツマンらしくなく見えるだろう。だから君が優しいイローナから、残虐なイーロンになるためには、筋肉を鍛えなければいけない」と述べて、チェチェン共和国のいくつかの場所で、トレーニングするよう勧めた。
このカディロフ氏の申し出に対し、マスク氏は「オファーを感謝する。しかしこのような素晴らしいトレーニングは、私にとっては大きすぎるアドバンテージになる。もし彼が恐れるようであれば、私は左手だけで戦ってもいい。しかも私は左利きではない」と返答。最後に「イローナより」と締めくくった。
さらにマスク氏はこの投稿の後、しばらくTwitterのアカウント名を「イローナ・マスク」に変更した。
肉体的な強さや暴力など、マスク氏と「有害な男らしさ」を誇示し合っているカディロフ氏は、チェチェンの独裁者とも呼ばれ、殺人や強盗、誘拐、拷問などの重大な人権侵害への関与が、国際社会に批判されきた。
また、LGBTQ当事者への凄まじい迫害でも知られており、映画『チェチェンへようこそーゲイの粛清ー』は、同性愛者が国家主導による「ゲイ狩り」の危険にさらされている実態を暴いている。