ボツワナで、350頭を超えるゾウの集団死が確認されている。
死因はわかっておらず、調査をしなければゾウの死はさらに増える可能性があると自然保護団体は警鐘を鳴らす。
※注意:この記事には動物の死体の画像が含まれています。
イギリスの自然保護団体「ナショナル・パーク・レスキュー」のニール・マッキャン氏によると、集団死が起きているのは、ボツワナ北部にある内陸デルタ「オカバンゴ・デルタ」の周辺だ。
現地で空撮された写真は、地面に横たわる多数のゾウの死体を捉えている。
「これほどの大量死は長い間観測されていません。干ばつ以外で、これほどまで大規模な大量死を私は知りません」とマッキャン氏は、ガーディアンに語っている。
死因はまだわかっていないが、突然死の兆候を示している死体がある一方で、「円を描くようにフラフラと歩いていたゾウもいた」という目撃証言もある。
「顔から地面に崩れ落ちて死んだゾウもいます。これは突然死だったことを示唆しています。他のゾウはもう少し時間をかけ、しばらく歩いた後に死んだと思われます」 とマッキャン氏は話す。
死んだゾウの体には牙が残っていたため、地元の自然保護局は密猟の可能性を否定している。また、ボツワナでは2019年に炭疽菌中毒でのゾウの集団死が起きているが、自然保護局の調査は炭疽菌の可能性も否定している。
他の可能性として、密猟に使われるシアン化物中毒などが考えられるが、毒なのか病気なのか、水が原因なのか土に問題があるのか、適切な調査をしない限りわからないとマッキャン氏は話す。
さらに、生きているゾウの中にも衰弱している個体も目撃されており、ゾウの死はさらに増えるだろうと考えられている。
ボツワナ政府の野生生物国立公園局の担当者は、「研究所に死体サンプルの検査を依頼している」とする一方で「新型コロナウイルスの制約により、結果がわかるのには時間がかかるだろう」とガーディアンに話す。
環境保護NGO「環境調査エージェンシー」のメアリー・ライス氏は「検査の遅れが状況改善の遅れを招く」と危機感を示し、一刻も早い検査を求めている。