三菱重工業は7月21日、アラブ首長国連邦の火星探査機「ホープ」を搭載したH2Aロケット42号機を打ち上げた。ロケットは発射から約1時間後、探査機を正常に分離。打ち上げは成功した。ホープは約7カ月かけて火星に到着し、周回軌道に投入される。
同社公式サイトなどによると、ロケットは日本時間7月20日午前6時58分14秒、鹿児島県種子島の日本最大のロケット発射場「種子島宇宙センター」から打ち上げられた。打ち上げは当初15日の予定だったが、悪天候のため延期されていた。
■火星探査機「ホープ」とは?
ホープはどんな探査機なのか?
同社サイトや時事通信によると、「ホープ」はUAEの建国50周年を迎える2021年に、中東初となる無人探査機の火星到着を目指す。UAE連邦政府が2014年に設立したUAE宇宙庁がプロジェクトを統括し、ドバイの宇宙機関であるMBRSCがホープの設計など技術面の取りまとめを行っている。
ホープは中東初の火星探査機で、高解像度の観測カメラ、紫外線と赤外線の観測装置を搭載している。火星大気の温度やちり、気候の観測などを行うという。
同社リリースによると、三菱重工は2016年3月、MBRSCからホープの打ち上げ輸送サービスを受注したと発表した。海外顧客からの衛星打上げ輸送サービスの受注は、韓国の多目的実用衛星、カナダの通信放送衛星、ドバイの観測衛星に続いて4件目。今回の打ち上げにより、同社のH2AとH2Bロケットの打ち上げは計45回連続の成功となり、成功率は98%になったという。
宇宙飛行士の若田光一さんも、自身のTwitterで打ち上げ成功を祝福。
「種子島でUAE国関係者の皆さんと一緒に喜びを分かち合う機会を戴き、信頼性を誇る日本のロケットが広く世界に与えてくれる感動の大きさを改めて実感しました」などとツイートした。