政権に批判的なラジオ局のキャスター、襲われる ロシア
政権批判で知られるロシアのラジオ局に23日、刃物を持った男が押し入り、女性キャスターがのどを切られて重傷を負った。当局は一方的な恨みによる犯行との見方を伝えている。ただ、このラジオ局は政権に批判的だとされ、別のキャスターも9月に襲撃を理由に国外に脱出しており、政治的な背景を疑う声も上がっている。
襲われたのは民間ラジオ局「モスクワのこだま」のタチアナ・フェリゲンガウエルさん(32)。副編集長を務め、朝の番組の司会者としても知られる。
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ラジオ局広報などによると、建物はモスクワ中心部にあり、男は14階の入り口で警備員の顔にスプレーを吹き付けて侵入した。男はロシアとイスラエルの二重国籍を持ち、最近、イスラエルからロシアに戻ったばかりだという。
男はその場で捕まり、取り調べで「5年間、テレパシーでフェリゲンガウエルさんと交流し、憎悪を募らせた」などと動機を話しているという。当局は精神鑑定をする予定。
モスクワのこだまは、ロシアの天然ガス独占企業ガスプロムが大株主の一方、反体制派の動向も取り上げるロシアで数少ない政権に批判的なメディアとされる。今月に国営テレビが、米国から資金支援を受けているなどと、フェリゲンガウエル氏らの名前を挙げて批判したばかりだった。
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米国のNPO「ジャーナリスト保護委員会」によると1993年以来、ロシアでは58人のジャーナリストが殺害されているが、犯人はほとんど検挙されていない。今回の事件を受け、欧州評議会のヤーグラン事務総長は「迅速な捜査を求める」との声明を発表した。(モスクワ=中川仁樹)
(朝日新聞デジタル 2017年10月24日 12時59分)
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(朝日新聞社提供)