「おとうさんがへびにたべられたら…」5歳の娘からのラブレターが胸を打つ

「子供の感性って凄いですね」「これ以上の愛情表現はない」と反響を呼んでいます。
宮川サトシさんが5歳の娘から受け取った「ラブレター」。宮川さんのTwitterより。
宮川サトシさんが5歳の娘から受け取った「ラブレター」。宮川さんのTwitterより。
Twitter/bitchhime

「おとうさんがへびにたべられたら、はなえもたべられていいよ」

こんな書き出しで始まる、全て平仮名で書かれた奇妙なラブレターがSNSで反響を呼んでいる。5歳の少女が父親にあてて送ったものだという。

この手紙を受け取ったのは、漫画家の宮川サトシさん。TVアニメ化された漫画「宇宙戦艦ティラミス」の原作者としても知られている。この手紙は7月18日の昼頃に娘の「はなえ」さんから受け取ったものだという。そこには次のように書かれていた。

おとうさんへ

おとうさんがへびにたべられたら、はなえもたべられていいよ。

どうしてそうおもうかとゆうとおとうさんがすきだから。

この手紙を宮川さんが同日夜にTwitter上で紹介すると、瞬く間に話題となり、1週間足らずで1万9000回もリツイートされることになった。宮川さんの投稿には、「子供の感性って凄いですね」「これ以上の愛情表現はない」「谷川俊太郎さんの詩のようですね」などとコメントが寄せられている。

■父親の宮川サトシさん「物書きの端くれとして、少しだけ嫉妬しました」

なぜ5歳の「はなえ」さんは、こんな奇抜な設定のラブレターを父親に送ったのだろうか。ハフポスト日本版は、父親の宮川さんに取材した。以下は、そのやり取りだ。

―― 「はなえ」さんから手紙を受け取ったのはいつのことでしたか?

7月18日のお昼頃ですね。近所の喫茶店で書き物の仕事をして帰ってきた時に、待ち構えてたように手渡しでくれました。

――「はなえ」さんから手紙を受け取るのは初めてですか?

いえ、普段からたくさんもらっておりまして、これまでに書いてもらった手紙は山のようにあります。専用の手紙管理ボックスがあるぐらいですね笑

―― 「はなえ」さんがこの手紙を出したのは、何かきっかけがありましたか?

心当たりがあるとすれば…なんですが、この手紙をもらう前日の夜、何かの話の流れで「そりゃいつかお父さんもお母さんも先にいなくなるんだけど、まだまだ先の話だよ」みたいなことを話したように記憶してるんですね。そこから娘は娘なりに「いつか父親と死別する未来」を想像して、あの手紙を書いたのではないかと思うんですね。普段か寂しがりだし、無闇に不安にさせるつもりはなく、かなりマイルドにさらっと話したつもりなので、全然その話がきっかけではないのかもしれませんが…。

―― この手紙を受け取ったとき、宮川さんはどう感じましたか?

嬉しさよりも驚きが先にありました。まず文法がしっかりしていること、そしてこの気持ちの表現に、ヘビに二人で呑まれているイメージが一瞬で膨らんで、こちらの時間が止まったようでした。「愛」を使わず、知り得る限りの言葉で愛を表現しているのかなと。物書きの端くれとして、少しだけ嫉妬もしましたが(笑)。誇らしくとても嬉しい思いでおります。宝物がひとつ増えましたね。親としては、本当はヘビに呑まれた僕を置いて逃げて生き抜いてほしいですが…愛の言葉だと思うとやっぱり嬉しいですね。

―― 「お父さんがヘビに食べられたら…」とは奇抜な想定ですが、何かヘビに人間が食べられる作品などを読んだり見たりした経験があったのでしょうか?

なぜ突然「ヘビ」が手紙に登場したのか謎ではあるんですが、毎晩かなりの数の絵本(昔話)を読んできたのでその影響か、もしくはピクサー・ディズニー系のアニメや映画も大好きなので、そのどこかでそんな場面を見て、彼女なりに「死」とは「ヘビに呑まれること」と頭の中で結びついていたのかもしれません。アラジンが好きで、実写版もアニメ版はスピンオフも全て見ているのでもしかしたらそんなシーンがあったのかもしれませんね…。違ってたらすいません!

―― リツイート回数が1万9000回に及んでいますが、こうした反響をどう感じていますか?

ただの親バカ投稿がまさかここまで拡散されるとは思ってませんでしたが、娘が手紙に込めてくれた心の純度の高さは本物だと思っていて、それが親子間だけにとどまらず、世間の皆さまにも届いたということは素直に嬉しいですね。

あと、これはどうお話しても後付けみたいになっちゃいますが…自分も物書きの端くれとして、普段から何か少しでも世間の皆さんがほっこりできるようなことを伝えたいなというのは正直なところありまして。最近ネットを見てても寂しくなることが多かったですよね、どこかにでかけるのにも神経つかいますし。

でも家の中にも価値のあるものはたくさんあって、そんなことを親バカのおっさんがネットにアップして誰かが和んでくれたのなら、単純に良かった…って思いますね。

娘には(まだ)経緯は話さず、あの子の大好きなサーティーワンのストロベリーチーズケーキ味のスモールを食べさせてあげようと思います、心の中で「よくやったな!」と思いながら(笑)。

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