1月5日11時2分ごろ、「茨城沖で地震発生。強い揺れに備えてください」と気象庁の緊急地震速報が、関東を中心とした広い範囲に発令された。震度5強程度の強い揺れが茨城県南部を襲うという警報だった。
しかし、実際には最大でも震度3で大きな地震ではなかった。緊急地震速報は、なぜ発令されたのか。
■同時に富山と茨城で地震
気象庁によると、11時2分に富山県西部を震源とする地震があった。石川県七尾市と中能登町で震度3を観測した。震源の深さは約20キロ、地震の規模はマグニチュード3.9と推定される。
同じく11時2分、茨城県沖を震源とする地震があった。茨城県神栖市で震度3が観測された。震源の深さは約40キロ、地震の規模はマグニチュード4.4と推定される。
これらの地震による津波の心配はないという。
■システムが間違えた可能性も
気象庁に取材を申し込んだが、担当者に問い合わせが殺到していて電話がつながらなかった。
ただし、気象庁の公式サイトには、複数の地震が同時期に近い地域で発生した場合には、別々の地震と認識できず「誤った緊急地震速報を発表することがあります」として、以下のように書かれている。
複数の地震が時間的・距離的に近接して発生した場合に、別々の地震と認識できず、規模の大きな1つの地震が発生したと認識するなどして、的確な緊急地震速報を発表できないことがあります。
今回は富山県と茨城県沖でほぼ同時刻に地震が発生したことから、1つの巨大地震が発生したとシステムが間違えて判断した可能性がありそうだ。
【UPDATE】気象庁の担当者によると、緊急地震速報は午前11時2分32秒から37秒にかけて富山県を震源地として第1報から3報まで「予報」を出していた。しかし、46秒になって茨城県を震源とする「警報」に切り替わったという。そのため「システムが2つの地震を1つの大きな地震と誤解した可能性がある」という。現在、詳しい原因を調べている。(2017/01/05 12:54)
【UPDATE2】気象庁は今回の緊急地震速報について、ほぼ同時に発生した茨城県沖の地震と富山県西部の地震を、コンピューターが一つの地震と判断して処理したためだと明らかにした。今後は改善に努めるという。(2017/01/05 19:41)