上海市のテレビ局が実施した、新年のカウントダウンを2020機のドローンで祝うイベントは、実際は当日に行われたものではなく、事前に録画された映像を流していただけだったことが分かった。
この映像については、中国国営放送のCCTVなども大晦日に行われたなどと報じていた。
■「あくまで従っただけ」
CCTVや国営新華社などによると、このイベントを企画したのは上海市のテレビチャンネル・東方衛視(ドラゴンTV)。12月31日に上海で2020機のドローンを飛行させ、カウントダウンの数字やゆっくりと歩く巨人の姿を夜空に描いたとしていた。
だが、当時実際に上海にいた人たちがTwitterなどで「当日は何も見えなかった」と指摘。AP通信によると、東方衛視は「セキュリティ上の問題」のため実際に31日にイベントは行わず、テレビ上ではライブ中継を装って事前に録画されたものを流していたことを認めた。
「セキュリティ上の問題」とは、2014年末に同じ上海で起きた、カウントダウンイベントを見に集まった人などが将棋倒しに倒れ、当局の発表で36人が死亡した事故を念頭に置いた表現とみられる。
一方で東方衛視は中国のSNS「ウェイボー」上では、依然として「年越しの夜に行われた」としたままだ。
撮影に携わったのは中国のドローンメーカー「億航(イーハン)」の子会社で、ドローンの編隊飛行などを手がける「億航白鷺(イーハン・バイルー)」。
「億航白鷺」の担当者はハフポスト日本版の電話取材に対し、撮影が事前に行われたものだったことを認めたうえで「あくまで東方衛視の指示に従っただけです。この問題については東方衛視が答えるべきだ」と話している。
東方衛視の映像については、CCTVや新華社などの国営メディアも相次いで報道。映像の概要欄には12月31日に撮影されたことを示す表示がある。