ドトールコーヒーは9月1日から、非正規従業員向けに退職金制度を導入した。同社によると、飲食業界で初めての試みだという。待遇改善により、長く働き続けてもらうことがねらいだ。
対象となるのは社会保険に加入し、週30時間以上勤務する従業員。同社には、加盟店も含めて約1万7000人の非正規従業員がいるが、当初はこのうち直営店や工場、本社などで働く人の約330人が対象となる。
従業員は月給の10%以内で、1000円〜2万円までを積み立てることでき、退職時に退職金として受け取ることができる。ドトールは毎月100円の掛け金を負担する。
加盟店も、フランチャイズオーナーがドトール本社のように掛け金を拠出すれば制度を利用することができるため、店舗オーナーからも問い合わせが出ているという。
この退職金は、オリックスが提供する確定給付企業年金制度を利用している。この制度を利用すると、年間利率が0.3%で、銀行預金より多くの利息が付く。毎月8000円を積み立てると、10年後には約105万円の退職金を受け取ることができる計算だという。
■従業員が望んでいたのは「資産形成」
ドトールの広報担当者はハフポスト日本版に、退職金制度は従業員からの声を元につくったものだと話した。もともと同社では福利厚生として、ハワイ研修旅行や健康サポートなどの制度は導入されていたが、非正規従業員たちに話を聞いてみると、多くの人から、「資産形成」の面からみたサポートが望まれていたのがわかったという。
「ドトールで働くパートナーの方たちは、家庭の事情から、パートやアルバイトを希望する方が多くいます。長く働いてくださる方も、多くいます。安心して働くためには、研修旅行などの一時的なものではなく、資産形成など長期に渡るサポートが必要だと見えてきました」
現在同社では、全国各地の直営店などで退職金制度の説明を行っている。制度に加入するしないは、従業員が選べるが、多くの従業員から驚きの声が挙がっていると、広報担当者は話した。