同じ性であることで結婚が認められないのは憲法に反するとして、2月14日、複数のカップルが国を相手取って訴えを起こした。
東京地裁には、6組12人の原告が提訴。14日午前10時前、原告と弁護団はそれぞれの思いを語り、裁判所へ入っていった。
川越市に住む古積健さんと相場謙治さんは、時折相手の表情を確認しながら地裁前で決意を次のように語った。
“結婚の平等を問う長い裁判が始まります。全国のセクシュアルマイノリティの人たちと、アライの人たちと闘っていきたいと思います。(相場さん)”
“これから長い道のりになると思うんですけれど、ここにいる仲間たちとともに、あとここに参加できない仲間たちと共に頑張って闘っていきたいと思います。(古積さん)”
ドイツで結婚したクリスティナ・バウマンさんと中島愛さんは、日本では婚姻が認められず、バウマンさんはパートナーの配偶者ビザを得られない状態が続いている。
“本日のように国を相手にする訴訟というのは人生で一回きりだと思いますので、本日から始まって、頑張っていきたいと思います。(中島さん)”
“本日はすごく緊張しています。長い戦いかもしれませんが、最後まで頑張りたいと思います。日本のLGBTQの方々が「普通」になるためにがんばります。(クリスティナさん)”
小川葉子さんと大江千束さんは、2018年に中野区で第1号となるパートナーシップ宣誓をしたカップルだ。
2人は、同性婚がテーマとなるこの訴訟を通して、現行の婚姻制度は異性間でも平等なのかを問いかけたいという。
多くの報道陣が集まるなかで、笑顔で前を見据えた。
“きょうは平成最後のバレンタインデーですね。忘れようがない、忘れることはない一日になりそうです。(大江さん)”
“たくさん取材のかたがいらっしゃると聞いて、緊張したんですけど、お見かけしたお顔がいたので、きょうは皆さんの後押しがあると思って頑張っていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。(小川さん)”
佐藤郁夫さんは、パートナーと一緒ではなく、一人でカメラの前に立った。
原告団の中でも、佐藤さんのパートナーは周囲へゲイであることを伝えていなかったためだ。
ただしさんも、パートナーは顔を知られたくないという希望のため、一人で報道陣に決意を語った。
“パートナーはこの場にいません。まだまだ差別偏見が多いので、多くの人たちが自由に生きられるような社会になるために頑張っていきたいと思います。応援よろしくお願いします。(佐藤さん)”
“一日でも早く、この国に、皆にとって本当の平等が訪れるようにと思って来ました。よろしくお願いします。(ただしさん)”
小野春さんと西川麻実さんは、かつての結婚で出産した子どもがおり、原告のなかで唯一子育てをしているカップルだ。
小野さんは強く緊張した様子で、声を絞って語った。
“すみませんとても緊張感していて言葉が出ません。よろしくお願いします。(お子さんの反応を聞かれ)家族も応援していました。頑張りたいと思います。(小野さん)”
全国4地裁で提訴された結婚の自由を求める訴訟は今後、国側に訴状が届いたら訴訟成立となる。その後、国側の意見をまとめた答弁書が原告側へ送られてくる。
訴状によると、世界では1990年代以降、性的指向による差別を禁じる認識が広がり、現在は25の国と地域で同性カップルの婚姻が認められたことに言及。国内の理解も深まっているとした。
法務省民事局は「訴状を受け取っていないためコメントできない」としている。
判決まで至った民事訴訟の平均審理期間は12.9カ月(2016年)。地裁の結論が出るまでは、長い時間がかかりそうだ。