『ドラえもん』の異色作「バイバイン」が期間限定で無料公開された。
東京都、大阪府、兵庫県、京都府に対して緊急事態宣言が発令された4月25日、「STAY HOME SPECIAL」企画として始まった。ドラえもん公式サイトでは「ドラえもんたちと一緒に、おうち時間をたのしく過ごしましょう」と呼びかけている。
■バイバインとは?
今回公開されたのは「バイバイン」の原作漫画とTVアニメ版だ。同じく藤子・F・不二雄さんの漫画2編も公開。『新オバケのQ太郎』の「ひっこしハイキング」、SF短編『老年期の終わり』だ。期間はいずれも4月29日(木)午前10時まで。
「バイバイン」は、てんとう虫コミックス「ドラえもん」17巻に収録された8ページの短編漫画。1個しかない栗まんじゅうを食べるのを惜しむのび太に、ドラえもんが「バイバイン」と名前の薬を出す。これを栗まんじゅうにかけると、5分ごとに数が2個、4個、8個と倍になっていくのだ。ゆっくり食べていくうちに数がどんどん増えて満腹になったのび太。母親や友人にも食べてもらうが、必ず1個残ってしまう。その後も、栗まんじゅうはどんどん増殖していき、このままでは1日で地球を覆い尽くすことになる……という内容だ。筆者も子どもの頃に読んで、背筋がゾッとしたのを覚えている。
この作品のように倍増しで数字が増えていくことは、指数関数的増加と呼ばれる。最初の数は少なくても、時間が経過するにつれて膨大な数に膨らむのが特徴だ。
新型コロナウイルスも、感染者数が「指数関数的増加」をする傾向があることが知られている。世界保健機関(WHO)は2020年10月27日、世界の1週間の感染者数が前週比16%増の288万4604人に達した際に「パンデミック開始以来、最短の指数関数的増加」と指摘していた。
SNS上では、この時期に「バイバイン」が公開されたことについて「緊急事態宣言のタイミングで、この作品を出したことに意味を感じる」という声が挙がった。「感染者が指数関数的増加することの怖さを、やんわりと伝えようとしているのでは」と推測する声も出ていた。