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ドイツで起きた驚くべき殺人事件のニュースが世界中のメディアを騒がせている。逮捕された女は「自分が死んだ」と偽装するために、SNSで見つけたそっくりの女性を殺害した疑いが持たれているのだ。
自分とそっくりの姿をした分身のことをドイツ語で「ドッペルゲンガー」と呼ぶ。これになぞらえて現地メディアは「ドッペルゲンガー殺人事件」と報じている。
■警察も家族も騙された。DNA鑑定で遺体は本人ではないと判明
CNNなどによると、事件の詳細はこうだ。
2022年8月16日夜のことだった。ドイツ南部の都市インゴルシュタットで、駐車中のベンツの後部座席から、若い女性の血まみれの遺体が見つかった。当初この遺体は、同地在住のイラク系女性で美容師のAさん(23)とみられていた。彼女は車の持ち主だった。数日前に行方不明になり、両親から捜索願いが出ていた。
Aさんの家族数人が「本人の遺体」と認めた。バイエルン警察も翌日の発表で、遺体をAさんと特定。「暴力犯罪の犠牲になったようだ」としていた。しかし、それは事実ではなかった。
ワシントンポストによると、DNA鑑定と指紋を照合した結果、Aさんと一致しなかったからだ。「Aさんを見た」という目撃証言があったことを受けて、警察が捜査を実施した。
同月19日に実は生きていたAさんと、コソボ人の男性(23)の2人が殺人に関連した容疑で逮捕された。2023年1月末には、殺人容疑で裁判所から逮捕状が出ている。逮捕された男性は、Aさんのボーイフレンドだったと報じられている。
遺体の女性の身元だが、ハイルブロン市に住むアルジェリア人の美容ブロガーのBさん(23)だったことが最終的に判明した。ガーディアンは、2人の女性は「長く黒いストレートヘア、似たような顔色、濃い化粧」という共通点があることから、「驚くほど似ている」ように見えたと警察からの情報を報じている。
■家庭内の不和が原因で自分の死を偽装か?
「調査の結果、Aさんは家族内でのもめ事のために身を隠したくて、自分の死を偽装したかったと私たちは推測しています」と州検察庁の担当者は同紙に語った。
NBCニュースが警察からの情報として報じたところによると、Aさんは、できるだけ自分に似た人を見つけるために、複数のSNSのアカウントを開設。数週間の間に数人の若い女性との接触が明らかになっているという。このうちインスタグラムで知り合ったBさんを、何らかの口実の元に誘って、コソボ人男性とともにハイルブロンまで車に迎えに行き、殺人を実行したと見られているという。
インディペンデントは、警察の報道官は「凶器はまだ見つかっていないが、立証責任を十分に果たすことができます。犠牲者は50回以上も刺されたことで殺され、顔に深刻な損傷を負いました。それは極端に残酷でした」と述べているという。