中国・上海で習近平国家主席の「独裁に反対する」などとして2018年7月、習主席の顔が描かれたポスターに墨汁をぶちまけるパフォーマンスをした女性が、入院させられていた精神病院から戻った。
父親によると、女性はほとんど言葉を発さない状態で「入院前とはまるで別人」と話しているという。アメリカの政府系メディア「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
■“何かしらの薬を...”
パフォーマンスを行った女性は、湖南省出身の董瑶チョン(ドン・ヤオチョン)さん(チョンは王へんに京)。2018年7月4日朝、上海で「習主席と中国共産党の独裁、暴政に反対する」などと叫びながら、3度に渡って習主席が描かれたポスターの顔の部分に用意していた墨汁をかけた。
董さんはこの様子を自ら動画に収め、ネットで配信していた。
董さんはこのあと、中国当局により精神病院に入院する手続きを取らされ、父親も軟禁されるなどの処分に遭っていた。
ラジオ・フリー・アジアが董さんの消息をおよそ一年半ぶりに報じたのは2020年1月2日。退院し、父親の元に戻ったと伝えた。
しかし、それは必ずしも董さんの無事を知らせるニュースではなかったようだ。記事によると、董さんは「お父さん」の一言を除き一切言葉を発さず、父親は「まるで別人だ。病院で何かしらの薬を盛られたのではないか」と話しているという。
董さんの父親と連絡を取り続けてきた人権活動家・欧彪峰(オウ・ビャオフォン)氏は、最新の董さんの写真をTwitterに掲載している。
欧さんが載せた動画では、董さんはうつむきがちに黙々とスマホのようなものを操作している様子が見て取れる。
父親とのチャット画面も同じく載せられ、この中で父親は「彼女は今こんな感じなんだ」「以前とは違う、まるで痴呆のようだ」「私の国よ、人をこんな風に変えてしまうなんて」と欧さんに訴えている。
ラジオ・フリー・アジアによると、董さんは中国を離れたいとの意向を示しており、海外移住を手伝ってくれる人を探しているという。