ドナルド・トランプ氏が1月20日、第47代アメリカ大統領に就任し、ワシントンD.C.の連邦議会議事堂で就任演説を行った。
トランプ氏は、就任演説で、「アメリカの黄金時代は今ここから始まる」「今日から我が国は繁栄し、世界中で再び尊敬されるようになるでしょう」と宣言。
徹底した「自国第一主義」を貫くと強調し、「毎日アメリカを第一にする。我々の主権は立て直され、安全は回復され、正義は再びバランスを取り戻すだろう」と述べた。
また、前バイデン政権を「国内の簡単な危機さえも管理できていなかった」と批判し、「今この瞬間から、アメリカの衰退は終わりを迎える」とも主張した。
南部国境での非常事態宣言
トランプ氏は約30分の就任演説で、様々な大統領令に署名して、大幅な政策の転換を行うとした。
最初に着手するとしたのは、メキシコと接する南部国境での、国家非常事態宣言の発令だ。
トランプ氏は「すべての不法入国は即座に停止され、何百万もの犯罪者を来た場所に戻す手続きを開始する」と表明。滞在資格を持たない移民などを大量強制送還する計画を直ちに実行する考えを示した。
また、南部国境へ軍を派遣するほか、麻薬カルテルを外国のテロ組織として指定するとも述べた。
国家エネルギー非常事態宣言
トランプ氏は、現在のインフレが過剰な支出とエネルギー価格の高騰によって引き起こされていると主張。
解決のために「国家エネルギー非常事態」を宣言して国内の石油とガスの採掘を進め、エネルギーを世界中に輸出してアメリカを豊かな国にするとした。
トランプ氏はこれまで何度も使ってきた「ドリル・ベイビー・ドリル（掘って掘って掘りまくれ）」というフレーズも口にして、「アメリカは再び製造業大国になる」と述べた。
関税を課す
トランプ氏は、化石燃料の採掘促進に加えて、地球温暖化対策などに公共投資する経済政策「グリーン・ニュー・ディール」を終わらせることも宣言。
「電気自動車の義務を撤回して、アメリカの自動車産業を守る」と述べた。
また、自動車産業などで働く労働者と家族を守るため、外国に関税や税金を課して、国内を豊かにする考えを示した。
トランプ氏は関税などで財政が潤うことで「アメリカンドリームがすぐに元のように実現し、かつてないほど繁栄するだろう」と述べた。
性別は男性と女性のみと宣言
バイデン政権は、トランスジェンダーを含めたLGBTQ当事者をサポートする政策を打ち出してきたが、トランプ氏はこの方針を覆す姿勢も見せた。
就任演説で「アメリカ合衆国政府は今日から、性別は男性と女性の2つのみであることを正式に宣言する」と発言。
「人種や性別を、公共生活と私生活のあらゆる側面に社会的に組み込もうとする政策を終わらせる」と述べ、性別を2つとする大統領令に署名する意向を示した。
メキシコ湾をアメリカ湾に変更する
トランプ氏は就任前の発言通り、メキシコ湾をアメリカ湾に名称変更し、アラスカにある北米最高峰のデナリ山の名前をマッキンリー山に戻すとも述べた。
また、パナマにパナマ運河の管理を移管したことは間違いだったと主張。
パナマ運河ではアメリカの船が不当に高額な料金を請求されて公正に扱われていないと主張し、管理権を取り戻すと宣言した。
領土拡大を示唆
トランプ氏は就任演説で、「素晴らしい国に必要なのは野心だ」と強調。
「我々は富を増やし、領土を拡大し、都市を建設し、期待を高め、星条旗を新しく美しい地平へと掲げて、再び成長する国家と見なされるようになる」と発言した。
その中で宇宙開発にも力を入れることを示唆し、火星に星条旗を立てると述べた。
トランプ氏は「私たちの黄金時代は今始まったばかりだ。神がアメリカを祝福しますよう」と述べ、就任演説を締め括った。